キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
Sho
相葉くんがかずに試合のことを言わなかったと、いう事実が、どうにも気になっていたから、潤に電話してみたが、……正解だった。
『うん。雅紀、ちょっと変だった。かずを見て、顔がひきつってた』
試合が終わって、かずと飲み物を飲んで休憩中だという潤。
その声は、少し戸惑っていた。
なんだか、相葉くんのかずに向ける笑顔がいつもと違ったって。
まるで、なんで来たの、と言わんばかりの表情を一瞬だけした、って。
……嘘だろ?
「……何か理由がありそうだな」
にわかに信じられないのが本音だ。
だって、外野で見てる俺でもわかるくらい、相葉くんは、かずになついてた。
いつもいつも、大好きなオーラが駄々漏れだった。
それなのに?
「……かずは?どうしてる?」
『……ちょっと傷ついた顔をしてたけど。とりあえずは、大丈夫そう』
「……そっか。…なぁ、潤。おまえもう一日泊まんねぇ?」
『…え?』
「かず。連れて帰ってきてよ」
『分かった……でも、いいの?』
「いいに決まってんだろ。家に連絡しとけよ」
通話を切っても、難しい顔をしている自分にふと気がつき、苦笑いした。
俺は、かずにとことん甘いな。
***** *****
その日の夕飯は、潤も交えて四人で焼肉をした。
ホットプレートを囲んで、食え食え、とかずの皿に肉を放り投げてやる。
かずは、気分によって、異常なほど少食になるから、少しでも力になれば、と、俺も一生懸命だ。
智兄も、なんとなく察してくれて、ふんわり笑いながら、見守ってくれてる。
「あ、これ美味しい」
潤がにっこり笑ってモグモグしてる。
……可愛いな。
いやいや、それどころじゃないか。
自分にツッコミながら、かずの顔をうかがい見た。
少し笑みを浮かべながら、とりあえず口を動かしてる。
「かず、美味いか?」
「うん」
「ここらへん焼けたぞ」
「……もうお腹いっぱい」
「んなこというなよ」
また、二枚重ねて、かずの皿に肉をいれてやったら、かずは、イヤな顔をした。