テキストサイズ

キラキラ

第21章 ひぐらし ~バースト4~


「……だめだ」

智兄が、苦笑して首をふったら、かずは、そのぼんやりした瞳をうるませて、駄々をこねた。

「なんでぇー…いつもしてくれんじゃんー…」

「いつも?」

ぼそりと、潤がつっこんだ。


……おお…ナイスツッコミ。


俺は、心の中で拍手しながら、ちらりと智兄を見た。
すると、智兄は困ったように俺を見て、肩をすくめるような仕草をした。


どうにもできない……よな。



智兄とかずの関係は特殊で。
俺は、なんとなく知ってるけど、潤には衝撃的かもなあ……。


「さとしさぁん……」
 

そうしてる間も、いつも冷静なかずが、ぐずぐずして、智兄にしがみついてる。

ちょっと新鮮な絵面だ。
小さな子供のようで、これはこれで可愛い。
それにしても……


「かずって飲んだら泣き上戸なのな」


くすっと笑って、うじうじしてるかずの髪を、そっと撫でた。

そうみたいだな、と智兄が頷く。


「けっこう面倒だな………んっ」

ぐいっと、胸元を引っ張られた智兄の唇を、下からのびあがってきたかずが塞いだ。

そのままかずにガッチリ頬をロックされた智兄は、観念したように目を閉じて……クチュっと、水音をならしながら、ディープなやつを俺らの目の前で始めた。


派手に舌を絡ませあう二人の横で、椅子に腰かけたままの潤が、すがるような目で俺を見上げてきた。


うん、まあ………ビックリするよな。
俺もこの二人のキスを、実際に生で見るのは初めてだし。


「う……んっ……」


色っぽい声をあげちゃうかずに、ドキリとする。


「………ぁっ…」


は??


もう一人色っぽい声をあげたやつがいた。


なんだ?


目を向けると、額に手のひらをあてて、うずくまりそうな潤。


……マジかよ(笑)



「……おまえさ、なに煽られてんの」


「しょう……」


感情が揺れたか。
ま、しょうがないか。


チカラの放出が始まり、跳びそうなんだろう。
苦しそうな、これまた色っぽい目をして俺を見てる。


しょうがないな。



「ほら」


震えてる指を握ってやり、よろける潤を無理矢理立たせて抱きしめた。
いつもなら、自分のチカラを流し込んで制御の手助けをするだけだけど。


ちょっといたずら心がわく


隣であんなんされちゃね。


俺は、潤の厚い唇を、そっとふさいだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ