キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
「あいばくんのばかー」
「はいはい」
「あいばくんのあほー」
「分かった分かった」
「さとしさぁん……」
「ん?」
「あいばくんは?」
「……今日は来てないよ」
「……なんでー?」
「なんでかな。また呼ぼうな」
「うん……」
智兄の膝枕で、ほわほわした顔で、くだを巻くかず。
智兄とキスしたらいったん落ち着いたみたいで、ソファにころがり、さっきから本音駄々漏れで、一人トークをしている。
泣き上戸の次は、絡むんだ。
俺はコーヒーをいれながら、いつもとはちがうかずと、温かい顔で見守ってる智兄を交互に眺めた。
いつも黙って静かに笑ってるかず。
俺たちには心を開いてるとはいえ、きっと遠慮という名のもとに、言いたいことを封じ込めてる部分もあるだろう。
だから、そんなかずが、ここまであけっぴろげに自分をさらけ出しているのも珍しくて。
かずを取り巻く状況はあまりよろしくないみたいだけど、それによって本音が言えることは、大事だなあ、と思う。
不謹慎だけどな。
ちなみに、最も俺が可愛いと思う男は、智兄たちの前でしてしまった俺とのキスに、照れてどうしようもなくなり、どうにもいたたまれなくなったみたいで、今、シャワーに飛び込んでいる。
どうせ、智兄たちもキスしてたから俺らなんか見てないし。
しかも、んな、ディープなやつなんかしてないのに。
ウブいやつだ。
「……なあ、翔。相葉くん何したの?」
かずの髪を柔らかく撫でながら、智兄が俺にこっそり耳打ちしてくる。
「……潤の話では。告白してきた女子にオッケーだしたって」
「……ふーん……」
「それを見られたくないからか、かずにだけ、今日試合があることを言わなかったらしいし」
「へぇ……」
「つか、全部バレちゃってる時点で、相葉くんだめだよね」
「……そうだなあ……」
智兄が、うーん……と呟いて、かずの髪を優しくかきあげた。
かずは、気持ち良さそうに潤んだ目を細めてる。
ほんのり色づいた頬が、いまだ抜けてないアルコールをあらわしてて。
……どんだけ飲んでしまったの?おまえは。