キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
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Jun
翌朝。
朝御飯に、翔が焼いてくれたホットケーキを食べているとガチャリとリビングの扉が開く音がした。
モグモグしながら振り返ると、かずが青白い顔をして佇んでた。
食洗機から、皿を取り出しながら翔が笑顔で声をかける。
「おはよう、かず」
「……はよ」
小さな声でふらふら歩み寄ってくるかず。
心配して、その顔をのぞきこんだ。
「おはよ。どーしたの。大丈夫?」
「……すっごい……気持ち悪い……」
弱々しくかえってきた答えに、翔と二人で顔を見あわせて笑ってしまった。
……だろうな。
「じゃあ、まだ寝てろよ。昼くらいにもう一回起こしてやるよ?」
翔が優しく促すと、かずは力なく頷く。
「……うん。ありがと。水ちょうだい……」
「はいはい」
翔が、マグカップに冷たい水を注いで、ソファにへたりこんだかずに手渡してやる。
コクリと飲み込みながら、かずがおそるおそるといった感じで口を開いた。
「あの……」
「ん?」
「昨日……俺、どうしてた?」
なんか途中から記憶が曖昧で……と呟くかず。
……覚えてないのか。
くすりと笑った翔が
「酒を飲んだぞ、未成年」
と、教えてやると、絶句するかず。
「……そ……それで?」
「それで、とってもご機嫌になって、歌を歌ってた」
「……それから?」
「それから、智兄の膝枕で寝た」
「……マジで?」
うーわー……恥ずかしいと、顔をしかめ、ソファの背もたれにかずは頭を預けた。
「だいたい、なんで智さんの酒なんか飲むんだよ?」
笑ってつっこむと、
「わかんないよ……ぼうっとしてたみたい」
かずが、はあっとため息をはいて頭を抱えた。
「頭も痛いし……最悪……」
「今日はおとなしくしてろよ?酔っ払い」
ぐったりと手足を投げ出してるかずに、声をかける。
俺は、皿の上にあった最後の一口を口に放り込み、ごちそうさまでした、と、手をあわせた。
部活が始まるまでに、雅紀をつかまえることにする。
帰り道、デートとかされてしまったら、ややこしいからな。
俺は、翔に目配せして立ち上がった。
「ありがと。帰るね」
「……おう。気をつけて」
翔も、硬い顔で頷いた。