キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
Masakl
昨日の試合の反省点をふまえながら、いつも通りの練習をこなす。
予想外に明るいケイと、ユーリ先輩には、少しだけ胸がチクリとしたが、俺が気を使うのもおかしいから、いつも通りに振る舞った。
「相葉くん、今度ジュースおごってよ?」
「ばーか、なんで、俺がおごらなきゃいけないんだよっ」
練習が終わり、ケイや、他の連中とわいわい言いながら、体育館をでる。
途中、他のメンバーとじゃれあうように走っていったケイ。
ちょっと、待ちな!ケイ!!と、ユーリ先輩が追いかける。
そのユーリ先輩は、俺を追い抜き様、「昨日はありがとね。相葉」って呟いた。
俺は、「…いいえ」とだけかえして少し笑った。
*****
「……え。かず、また具合悪いんですか?」
玄関口で、翔さんに困ったような顔で告げられ、驚いた。
たくさん話したいことがあるからお邪魔したい、とおしかけたはいいが、肝心のかずが寝てる、という。
「具合っていうか……ちょっと体調崩してるかな。ま、上がれよ」
翔さんがリビングを指差した。
お邪魔します……と、ピッタリ閉じられたかずの部屋を気にしながら廊下を通り抜け、広いリビングに足をふみいれる。
今日は、かずの部屋には入れてはもらえないんだろうか、と、どんより考えていたら、大きなソファに横になって、スヤスヤ眠っているかずが目にとびこんできた。
大判のタオルケットを体にかけ、小さく寝息をたてている表情は、わりと穏やかだ。
若干、顔色が青白い気もしないでもないが。
「5時に起こそうと思ってたんだ」
言って、翔さんがかずに声をかけようとしたから、俺は慌ててとめた。
「あと20分くらいでしょ。待ちます」
「……そう?」
「はい。このままいてもいいですか?」
「…もちろんかまわないよ。じゃ、俺は自室にいるから。何かあったら呼んでな」
翔さんは、グラスにコーラを入れて俺に出してくれたあと、意味深な笑顔を残して扉の向こうに消えた。
小さく稼働する空調の音。
暑くもなく寒くもなく、ちょうどいい温度に設定されてるなかで、かずは静かにすうすうと眠ってる。
小さく開いた口が、可愛い。
俺はソファの向かいに座り、かずの寝顔をじーっと眺めた。