キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
智さんへの敬愛の念。
翔さんへの信頼の気持ち。
潤への穏やかな友愛の心。
イメージされた心の映像とともに、ふわりふわりと伝わってくる。
かずが、周りにむけている思いが、漏れ出ている感じ。
固くガードされた心が、今解かれてる。
かずの想い……純粋な想いが。
「………」
でも、これは知ったらダメなんじゃないかな、と思った。
だって、いうなればこれはかずの丸裸な心。
意図して晒してるわけじゃないなら、盗み見てるのと変わらない。
………やめた
かずに触れてる肩から手を離そうとして、突如、自分のイメージが流れ込んできて、思わずピタリと動きをとめてしまった。
そして同時に。
「………え……」
勘違いじゃなければ、これは……。
自分が一番よく知ってる種類の想い。
淡い淡い……恋心……?
俺を、思ってくれる優しく温かい心。
そして、俺の手を……求める心。
知らず肩をつかむ手に力がこもっていたのだろう。
かずが、小さく動いたかと思ったら、ゆるゆるとこちらを振り返った。
ぼんやりとした瞳で俺をみつめ。
焦点をあわせてから、静かに微笑んだ。
「なんだ……来てたんだ。相葉くん」
「……あ……うん」
慌てて手を引っ込めた。
今の……今のって!
俺を……?
求めてくれてるの?
「……よく寝た」
うーん、と伸びをして、かずは首をのけぞらせた。
すべすべした喉元のラインがあらわになって、俺は思わず後ずさりする。
ば、ばばばばか!
そんな体勢やめろ!
挙動不審な俺に、かずは怪訝な顔をして、ゆっくり起き上がった。
同時に、少しだけ顔をしかめたのに気づく。
「……どうしたの」
「……ん、まだ頭痛が残るなって思って」
「風邪?」
「二日酔い」
「はあ!?」
口をあんぐりあけて、固まる俺をみて、かずはクスクス笑った。
タオルケットの下の足を組み直して、丸い手で目をこする。
「……智さんのお酒。間違えて飲んじゃって」
聞きながら、俺の視線はかずの首もとに集中していた。
大きくあいた襟ぐり。
白い首筋。
寝起きのそのぼんやりとした表情。
たまらない……。
一人せわしく、ドキドキしてたら、
「相葉くん、彼女できたの?」
と、ぽつりと問われ、一度に我にかえった。