キラキラ
第21章 ひぐらし ~バースト4~
「ああ……それと。辛いことがあっても、酒はダメだぞ、未成年」
「……うん」
「飲んでみてどうだ?いいことないだろ?」
「うん。気持ち悪いし頭痛いし、こりごり……」
肩をすくめるかずを見て思う。
酔っ払ったふにゃふにゃなかずは、かなり可愛かったが、そこはやっぱり、保護者がわりの俺がひきしめておかないといけないよな。
このまま騙されててやろうかと思ってたけど。
ちょっといじめたくなって、少し怖い顔をしてチクリと戒めた。
「……昨日、俺の酒わざと飲んだろ」
かずは、げっという顔をした。
その顔がおかしくて、俺は、あははっと笑い声をあげてしまった。
やっぱ可愛いやつだ。
「……バレてた?」
「わかるわ。酒とお茶を間違えるわけねーだろ。普通」
かずは、あ~あ、というように頬をぽりぽりかいて、決まり悪げに白状した。
「だって……やなこと忘れられるかなと思って」
「……忘れられた?」
「忘れられたけど、忘れすぎた。記憶とんだもん……」
だよな。そうだろうな。
かずは、上目遣いになり、えへっと念押ししてきた。
「もうしないよ。だから、翔さんには内緒ね。叱られる」
「俺は?」
「智さんは怖くない」
「バカやろ」
クスクス笑って手を伸ばし、かずの頭をくしゃくしゃっとかきまわしてやる。
かずは、くすぐったそうに目を細めた。
……かず。
相葉くんなら大丈夫だ。信頼できる男だと思うよ。
良かったな。
感慨深げに吐息をついたら、かずが、じっとこちらを見つめてきて。
……ふと視線が絡まった。
何か言いたげな色をしてるかずの瞳。
俺は、じっと黙って、柔らかく促す。
「……」
「……」
「……最後にキスしてくれる?」
………そうきたか。
俺は、ふっと笑った。
クールなふりしてるけど、根っこは相当甘えんぼなかず。
相葉くんが、うまく受けとめてあげれたらいいな。
「……いいよ。じゃあこれで俺から卒業な」
お互い、彼氏持ちだから。
そういうと、かずは楽しそうに、そうだね、と頷いた。