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キラキラ

第22章 1ミリのユウキ

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あまりにもすごい勢いで、潤に「すぐに来て」、と繰り返されるから、朝飯も食べずに、顔だけ洗って家を飛び出した。

カーナビに言われた場所をうちこみ、車を勢いよく発信させる。


……今日、潤とロケだった?


マネージャーがミスったんだろうか。
混んでる道路に、少しイラつきながら、前方を見据える。

スケジュール通りに動きたい俺は、こういう突発的な事態は好きじゃない。
心の準備だってあるし、その他もろもろ用意の変更があるかもしれないのが面倒だからだ。

何事も準備万端でのぞみたいから。
余裕を心に持っておきたいじゃないか。

今日だって、潤と一緒って分かってりゃ、遅刻なんか絶対しなかったのに。


……ああ、くそっ。


動き出した車の流れが、前方の右折車のせいで止まり、また信号にひっかかりそうだった。

俺は、イライラしながらブレーキを踏んだ。




渋滞をぬけ、ようやく目的地に到着。

住宅街の一角にある駐車場らしき場所に車を滑り込ませた。

足早に賑やかな建物に歩いて行く。


「……なんのロケだ?」


目の前に広がるのは、ドラマ撮影など以外では、普段絶対関わることのない場所。

二階建てのこぢんまりした園舎。
パステルカラーがふんだんに使われる優しい色合いの外壁には、象やネコなどのイラストが描かれていて可愛らしい。

聞こえるのは、子供たちの元気な歓声と笑い声。
送りにきたと思われる、お母さんたち。

所謂、幼稚園、だ。


……これ、素顔で入っていって大丈夫なんだろうか。


入り口でしばらく突っ立っていると。


「あ!来た来た!遅い!櫻井先生!」


唐突に、聞きなれた声が、俺の名を呼んだ。


……櫻井先生???


視線の先には、黒いジャージの上下に、不似合いなほどの大きなお花のバッジをつけて、こちらに走り寄ってくる潤の姿。

ジャラジャラ首からぶら下げたホイッスルや鍵なんかが、なんだか関係者感満載だ。

「……潤?」

なにしてんだ?という問いは、被さるような勢いの潤の剣幕にのみこまれた。

「なにしてんの?早く着替えてきてよ!」

「……え、なにって」

「ほら!子供たち待ってるから!」

「……え、待って。これ、なんのロケ?」

「なにわけわかんないこといってんの?早く!」

俺は潤に引っ張られ、引きずられるように走り出した。

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