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キラキラ

第22章 1ミリのユウキ

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パチパチパチパチ


間の抜けた、ゆるーい拍手の音に、はっと我にかえった。


「あれ……っ」


まさしく潤に挿れた瞬間だったように思う。
自分の体の下のぬくもりとか、震えとか。
自分が潤に押し入った感触や潤の喘ぎ声とか。
本当に、つい今しがたまで、エッチなことしてたのに。


ゲームでいうなら乱暴に電源を落とされたみたいに。
びっくりするほど、突然リセットされた。


………沈黙。


「なに……これ?」


潤はいない。
そして、ここは幼稚園でもない。
真っ白な空間に、ぽつねんと座り込んでいる俺。


え…夢?
これはなに?


リアルすぎて、混乱する。
服は着てるけど……ジャージじゃない。
脱いでもなけりゃ、勃ってもない。


「あのさあ……」

「うおっ……びっくっした…」


自分の真横に、いつからいたのか緑のひらひらの服をきた金色の髪の男が正座してる。
ピーターパンみたいなその外見。


相葉くんによく似てるけど、ちょっと違うな…。


じっと見つめてると、そのピーターパンは、ふうっとあきれたように吐息をついた。


「最後まで夢だと信じこんで、楽しんでる人、初めて見た……」


あきれたような口調。


夢……じゃないのか?


俺が考えていることを読んだかのように、そいつは、やれやれと肩をすくめた。


「驚かしがいがないんだよねぇ……こーゆー人……。あなたの涙、見たかったのに」


綺麗だったろうな、と呟くピーターパン。


……なんか。
ずいぶんな言われような気がするのは、気のせい?
泣きゃ良かったですかね??
……つか。


「………なに、これ」


「パラレルワールドって。知ってる?」


ピーターパンは、めんどくさそうに言った。


パラレル…聞いたことあるぞ。


「自分のいる現実とは別次元に存在する世界だっけ?」

「そ」

「え……じゃあ、さっきの幼稚園は」

「パラレルワールド。あれもひとつの現実だよ」

「……」

どおりで…、無茶苦茶な設定のわりに、リアルだと思った。
だって、潤の怒鳴り声や、かずくんやまーくんの可愛い声、さとしくんの笑顔は、確かに記憶に新しすぎて。
夢と呼ぶには、あまりにも現実的で。

唇にのこる潤とのキスは、再生するだけで体が震える。

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