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キラキラ

第22章 1ミリのユウキ


パラレルワールドね…。

普段の俺なら、一笑に付すだろう。
嘘みたいなこんな話、信じがたいことだ。
でも実際に体験したわけだから、納得できる。
現実ではないけど、あれは確かに現実だった。


……じゃあさ。



「……お前、誰だ」

「至極、真っ当な疑問だね」


ついでに、ここはどこだと問いかけると、ピーターパンはくすっと笑った。

笑ったら細くなる目とか、笑いじわなんか、相葉くんに本当に似てるよな。
だから、そのせいで一瞬こいついいやつかも、と思っちゃうけど。


……俺が泣けば良かった、とか言ってたよな、確か。


だとしたらきっと性格悪いよな…。
危険だ、こいつ。


俺は、ピーターパンを、ジロリと睨み付けた。
ピーターパンは苦笑して、ヒラヒラと手を振った。


「そんな怖い顔しないでよ。俺は、あなたにヒントをあげたんだからね」

「……なんの」

「俺はね、あなたちの世界の緑を司る管理人だよ。いつもみんなをここから見守ってるんだ」

ピーターパンは、得意気にふふんと鼻を鳴らす。


管理人だ?
うさんくせーな……。


黙って続きを促す。


「でね。気になる人をピックアップしては、パラレルワールドに招待して、いろんなことを勉強してもらってるの」

「……」

「今回はさ、遠慮ばっかりしてぎこちないあなたたちに、素直になることに気づいてほしくてさ」

「……」


目を見開いてしまう俺に、ピーターパン……管理人は、うふふと笑った。


「幼稚園児は素直だったでしょう?」

「……」

「あちらの潤くんも素直だったでしょう?」

「……怒られてばっかりだったよ」


ぼそりと返せば、管理人は楽しそうにニコニコと笑った。


待てよ。
ってことは、こいつ何でも知ってんだ。
俺が、潤と……そういうことをしてるときも、見てたわけだ。


……これは。
ムカつく以前に、恥ずいぞ。


思わず硬直した俺に、管理人は更に衝撃的なことを言った。

「大丈夫。そーゆーの見慣れてるから」

「見っ……!」

「ちなみにさ、潤くんも招待したことがあって」

「え?!」

「そのときは、あなたへの愛を再確認してもらったよ」

「……」


……いつのまに。


「にのも招待したことあるよ」

「え?!」

「二人とも泣き顔が綺麗だったなあ」


………マジかよ。





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