
キラキラ
第22章 1ミリのユウキ
通話を切ってからも、しばらくドキドキしてソファから立ち上がれなかった。
会いたい、と。
言ってしまった……
顔から火が出そうだ。
よくも言えたものだ。
すごいぞ、俺。
もうすぐ、ここへ潤が来る。
だが。
来て……どうする?
何をする?
何を言う?
騒ぎだした心臓を、スエットの上からつかみ、唇を噛んだ。
恋人なのに、恋人らしくない俺ら。
個人の仕事の量が増えるたびに、時間のすりあわせがうまくいかない。
ならば、それぞれが家におしかければいいのに、お互いに気を使いすぎるのに付け加え、照れも入るせいで遠慮ばかりしてる最近である。
そのせいで不仲説すらでてしまってる始末。
『言わなきゃつたわらないよ』
『ちゃんとまつもと先生にいわなきゃダメだよ』
園児であるサトシくんに、教えられた。
……そうだな。
黙ってても分かりあえるなんて思い上がりだ。
言わなくちゃ伝わらないし分からないよね。
今だって……ほら。
会いたい、と勇気を出したら、それが叶おうとしている。
待ってて、と言った、潤の柔らかい声音が耳に残る。
ローテーブルにあるグラスを手に取り中身をぐいっとあおった。
既に室温にかわりつつあるアルコールは、温くて、美味しくもなかったが、ぼんやりした思考を覚めさせる程度には、刺激があった。
「……つまみでもつくるか」
冷蔵庫に、コンビニキムチ。
確か冷凍の枝豆もあったはず。
つくるっていうか。
並べるだけだが、ないよりはマシだろ。
大体、あいつも最初から俺にそんなクオリティは期待してないだろうからな。
ソファから立ち上がり、のろのろとキッチンに入った。
潤に会える。
二人きりで……会える。
素直に嬉しい。
**********
本当に30分で着いた潤は、手にしていた小さな紙袋を、ぎこちなく出迎えた俺に、ひょい、と渡してきた。
「一緒に食おうと思って」
中身をみたら、タッパーに入った……アンチョビキャベツ。
俺が大好きなやつ。
まだほんのり温かい。
「え……作ってきたんだ?」
「っていうか。これ食べながら、酒飲んでた」
潤は、ローテーブルに並べられた枝豆をパクリとつまみ食いしながら、笑った。
「酒?……じゃあ、どうやってきたんだ?」
「タクシー。だから、もう帰らないよ? このまま泊めてね」
会いたい、と。
言ってしまった……
顔から火が出そうだ。
よくも言えたものだ。
すごいぞ、俺。
もうすぐ、ここへ潤が来る。
だが。
来て……どうする?
何をする?
何を言う?
騒ぎだした心臓を、スエットの上からつかみ、唇を噛んだ。
恋人なのに、恋人らしくない俺ら。
個人の仕事の量が増えるたびに、時間のすりあわせがうまくいかない。
ならば、それぞれが家におしかければいいのに、お互いに気を使いすぎるのに付け加え、照れも入るせいで遠慮ばかりしてる最近である。
そのせいで不仲説すらでてしまってる始末。
『言わなきゃつたわらないよ』
『ちゃんとまつもと先生にいわなきゃダメだよ』
園児であるサトシくんに、教えられた。
……そうだな。
黙ってても分かりあえるなんて思い上がりだ。
言わなくちゃ伝わらないし分からないよね。
今だって……ほら。
会いたい、と勇気を出したら、それが叶おうとしている。
待ってて、と言った、潤の柔らかい声音が耳に残る。
ローテーブルにあるグラスを手に取り中身をぐいっとあおった。
既に室温にかわりつつあるアルコールは、温くて、美味しくもなかったが、ぼんやりした思考を覚めさせる程度には、刺激があった。
「……つまみでもつくるか」
冷蔵庫に、コンビニキムチ。
確か冷凍の枝豆もあったはず。
つくるっていうか。
並べるだけだが、ないよりはマシだろ。
大体、あいつも最初から俺にそんなクオリティは期待してないだろうからな。
ソファから立ち上がり、のろのろとキッチンに入った。
潤に会える。
二人きりで……会える。
素直に嬉しい。
**********
本当に30分で着いた潤は、手にしていた小さな紙袋を、ぎこちなく出迎えた俺に、ひょい、と渡してきた。
「一緒に食おうと思って」
中身をみたら、タッパーに入った……アンチョビキャベツ。
俺が大好きなやつ。
まだほんのり温かい。
「え……作ってきたんだ?」
「っていうか。これ食べながら、酒飲んでた」
潤は、ローテーブルに並べられた枝豆をパクリとつまみ食いしながら、笑った。
「酒?……じゃあ、どうやってきたんだ?」
「タクシー。だから、もう帰らないよ? このまま泊めてね」
