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キラキラ

第3章 フラワー

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結局、翔くんは、しれっと完璧な振りをしてみせて、次の収録にでかけていった。
心配だった、相葉くんも、間違えてたあの一ヶ所をのぞいたら、パーフェクトだった。
リーダーと、ニノは言わずもがな。

一通り踊ったあと、翔くんが、ひそかに、俺に見せた、どや顔が可愛くて、椅子やら机を元通りにしている間、我慢できなくて笑ってしまい、相葉くんに不振がられたけど。


「ふう……」

髪から滴る水を、タオルでガシガシしながら、テレビをつける。
映るのは、キャスター顔な真面目モードの翔くん。
生番組で、メンバーを見るなんて、そうそうないこと。ましてや、毎週同じ時間に必ずテレビの向こうにいる翔くんとあえるなんて、こんな幸せないよね。

俺は、ビールのプルをあけ、翔くんに「お疲れっす」と声をかけて、口をつけた。
ソファーに座り、別のキャスターがしゃべる話に、真剣な顔で頷く翔くんを見つめる。

俺の目が追うのは、その大きな目と……唇。

(あーーっ、キスしてぇ……)

唇をかんで、ソファーの背もたれにドスンと背中をあずける。
知らず知らず大きなため息をついた。


少し前、俺達は、想いが通じあえた。

この場所で、キスをした。

翔くんから、おねだりまでされて、長い時間唇を離さなかった…………けど。
その先には進まなかった。

……進めなかった、と言ったほうが正しいのか。

何故なら、我慢できずに俺の手が翔くんの上着の裾から中に入りかけた瞬間、翔くんが、体を離したから。

「なんか……てれるね」

そう言って、普通モードになってしまわれたら、こっちも躊躇してしまう。
押し倒すのは、簡単だけど、無理矢理にはしたくない。
まして、男同士なんてお互い初めてだから、慎重にもなるし……。
これは、翔くんが、まだ待って、と予防線ひいたのかな、と理解して、その日は、別々に寝ることにした。

この期に及んで、ベッドを使うことを遠慮してきたから、俺、多分一緒に寝たら寝かせないぜ?って、言ったら、翔くんは、苦笑いして、ばーかと、言って部屋を出ていった。

あんたが、ばーか、だよ。どーしてくれんだよ……。

キスで高まった体を宥める術なんて、ひとつしかなく。

あのあと、俺は、翔くんとのキスを思い出しながら、抜いたんだ。


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