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キラキラ

第3章 フラワー



あの夜から、1ヶ月ほどたつけれど、いまだ、翔くんには触れていない。

キスもしてない。

単に、仕事や、休みのタイミングがあわなかった、といえばそれまでだが、あわせようと努力をしたかといえば、そうでもなく。

(結局、こわいんだよなあ……)

求めて、また断られるのが。
ひとりよがりになっていきそうな自分が。

一線を越えるのは、きっと男女間より勇気がいる。多分、俺より、翔くんの方がはるかに。

(ま、だいたい、抱かれる側になってくれるかどうかも、確認した訳じゃないしね……)

そこらへんは、こっちは譲る気はまったくないけれど。

(とりあえず明後日は久しぶりのオフだし、翔くんのスケジュールにあわせて、食事でも誘ってみるか)


ふと気づくと、番組が終わろうとしていた。

俺は、スマホを手にし、ラインをおくる。

『お疲れさま!』

リアルタイムでちゃんと見てたよ。


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S


楽屋に戻って、お茶をのみながらスマホをチエックすると、潤からのメッセージ。

お疲れさまの言葉に、笑みがこぼれる。

生放送は、毎回毎回なんともいえない緊張感に包まれて、無事終わると、ドッと疲れがでる。
今でこそ、やりきった感のある心地いい疲れに、かわってきてはいるものの、初期のころは、毎回終わるたびに頭痛がしたものだった。

ソファーに座って、しばらくスマホの画面を眺める。

潤を好きだ、と気づいてから、あいつからのメッセージをうけるたびに、どうしようもなく嬉しくてたまらない。

特に、月曜のこの時間、必ず、お疲れさま、と入っていて、正直疲れもふっとんでしまうんだ。 

『ありがとう。おやすみ』

送信。

ちょっとそっけないかな、と思いながらも、気持ちは誰よりも込めてるつもり。

潤の笑顔を思い出しながら、幸せな気分にひたりつつ、チクりと気になる要因が頭に急浮上してきて、ちょっとため息をついた。

いわゆる……愛を確かめあう行為について。


あの夜から、何もない俺たち。
プラトニックでいいなんて、思ってはいない。
俺も健全な男子だし、好きな人には触れたい、とも思う。
性欲だって、人並みにはある。

潤が、好き。

これは事実。

ならば、とは思うけど……。

男同士ってどうやんの??

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