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キラキラ

第22章 1ミリのユウキ


何度、高みにかけあがったか分からない。
脱力してふわふわする体。

「翔くん……?」

潤の心配そうな声に、ふっと我に返り、目を開けた。

「大丈夫?……ごめん。やりすぎた」

「……いや…」

両手をあげ潤の首に腕をかけ、自分にぐいっと引き寄せた。
不安な顔を払拭させてやるように、チュッとキスをしてやったら、潤は安心したように笑んだ。

でも。

「……もう無理だぞ」

念押しするように予防線をはることを忘れない。

何度も愛を確かめあったはいいが、言うことを聞かないガクガクな足腰に、ちょっと心配になる。
明日仕事になるだろうか。

「分かってるよ」

潤が、クスリと頷いた。

びっくりするくらい素直になれた行為中は、自分達の思いをお互いにたくさん囁きあった。
ぎこちなかった期間が嘘のように、心も体も、すごく満たされた気がする。

なんだかすごく…幸せだ。

「……ちょっと。翔くん?」

「………ん?」

ぼんやりと、潤の顔を見上げる。
また、意識が飛びそうな俺を、潤が気遣うように揺さぶってきた。

「寝ちゃダメ。風呂入らないとベトベトだよ」

「も…動きたくない…ってか動けない」

応答する俺の声も掠れてるのが分かった。
どれだけ、乱れて矯声をあげさせられたか。
もう覚えてもない。

潤が優しく、俺の髪を撫でた。

「じゃあ、拭いたげるよ。まってて」

と、言って体を離そうとしたから、俺は、なんだか寂しくなり、ぎゅっとその腕にしがみついた。

我ながら、らしくないとは思うが。
こうなりゃ、とことん甘えてやる。

俺は、ふるふると首をふった。

「……まだいい」

「え…でも」

「もう少しこのまま……」

熱をわけあった素肌は、汗と体液にまみれてベトベトだったが、俺は、それすらもいとおしくて、潤の体にぺったりとくっついた。

潤は、ふっと微笑み、俺の体を引き寄せなおし、髪の毛に鼻を埋めた。

「翔くん…愛してる」

何回も囁かれた言葉。

「……俺も」

何回も囁いた言葉。



素直になるって……正直になるって大事だな。
ますますこいつがいとおしくなった。

いつもいつもは、照れ臭くてお互い無理かもしれないけど。

エッチ中は、……たまには、このくらい、甘い俺でもいいのかもな。



潤のしっとりした胸に顔を寄せて、俺はそっと目を閉じた。



fin.

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