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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


隣で緊張した面持ちのショウ王子が、一礼した。
国王は続ける。

「早いもので、これも18になりました。そろそろ良き伴侶を、と思っております。次回お集まりいただいたときは、その発表の場になっていれば、と考えております」

国王の表情が、言いながら次第に柔らかいものとなり、笑顔を浮かべるほどにまでなると、会場も、はははっという笑いに包まれた。
 
ショウ王子が、何いってんだ!と、慌てた様子で、赤らめる顔が、少年のようで、なんだか好ましかった。

ふふと微笑みながらその様子をみていると、国王がこちらを見ているのに気づく。
 
「……」

ばっちり目があってしまう。

国王が、意味ありげに笑んだのを、さりげなくうつむいて気がつかないふりをした。


やっべ……
ミヤのいう通りじゃん……俺ロックオンされてる。




それでも、挨拶には一応出向かねばならない。
大の国の代表で来てるのだから失礼があってはならない。

歓談の時間となり、俺は、たくさんの貴族たちの中にまじり、流れ作業のように国王と交わされゆく挨拶にまぎれようとした。

ところが。

「お招きありがとうございます。大の国のサトコにございます。本日はおめでとうございます」

にっこり微笑んでその場を離れようとしたら、

「おお。大の国の。いや、美しくなられた。父君は、今日は来れなくて残念だったな」

「……はい。申し訳ございません」

「いいや、あなたに会えたらいいのだ。いい機会だ。…おい、ショウ。サトコ殿とあちらでお茶でもしてこい」

……は?

固まった俺に、国王の隣で直立不動だったショウも、……え?と、戸惑った顔になった。

「いや、でも……」

「ほんの少しの時間くらい席をはずしてもかまわんだろう。サトコ殿をそちらの別室にご案内しろ」

……おい、ちょっと待て。
何いってんだ、このボケ親父。

愛想笑いをうかべながら、どうやってこの場を切り抜けようか、と突っ立っていると、こちらへどうぞ、とむこうの召し使いに誘導されてしまう。

俺は、思わず振り返った。

窓辺に佇むミヤの姿が見える。
心配そうな色をたたえながらも、あいつも身動きとれない立場だから。

ミヤが黙って唇をかんだのが見えた。


ミヤ……


俺は、心に誓う。


大丈夫。すぐ戻る。




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