
キラキラ
第23章 🌟🌟🌟
Miya
こっちを不安そうに振り返ったサトコ様が見えた。
ショウ王子とは初対面ではないし、彼が、特に手が早いという噂もきかないので、まあ、大丈夫だろうとは思うけど…。
こういったたくさんの列席者がいるなかで、あのように、国王自ら特別扱いをしてくださるのは、あまりよろしくない。
考えたくはないが、サトコ様…というより、この集団の中に、我が国をよく思っていない輩がいるかもしれない。
ショウ王子に輿入れすることを、切に願う輩の逆恨みを買うかもしれない。
だから、本当はできるだけこういう場では目立ちたくはないのだ。
扉の向こうに消えたサトコ様の華奢な背中を見送り、ふっとため息をついた。
とりあえず……お戻りになるまで、ここで待機だな…。
あと残りわずかとなった、サトコ様が持たせてくれた水のグラスを、こくりと飲み干した。
そのとき、
「はい。自分では遠慮して取りにいけないだろ」
楽しそうな声とともに、目の前にいくつかのカナッペがのった皿を差し出された。
驚いて顔をあげたら、俺よりも高い位置にある男前な濃い顔が、キラキラと微笑んでいた。
「ジュン王子……」
「どうぞ。それとも俺からは、受け取れない?」
「あ…いえ。ありがとうございます…」
口ごもりながら、皿を受け取る。
「シャンパンも飲めば?」
持っていた細いグラスを、はい、と渡される。
あまり、酒は強くないから、飲みたくないのが本音だが、さっきもワインを断ったところだからと、仕方なく受け取った。
「……いただきます」
「ねえ、あんたさ。サトコ様の直の付き人だよね?」
「……はい」
「なんで女性じゃないの?」
ジュン王子は、興味津々といった感じで身を乗り出してくる。
ふわりと香る彼のいい匂いを感じながら、俺は、言い訳を探す。
最もな疑問だ。
普通は、身の回りのお世話係は、同性が務めるだろう。
だけど、まさかサトコ様が実は男だからだなんて、言えやしない。
「……幼馴染みなんです」
俺は、無難な言葉を選んで、静かに答えた。
「ふうん……俺とショウみたいなもの?」
「……おそらく」
「ふうん……」
ジュン王子はその大きな瞳を細め、俺に顔を近づけてきた。
反射的によけようと身構えたら、その口から意外な言葉が飛び出した。
「ね、あんたさ。姫のこと好きだろ」
