
キラキラ
第23章 🌟🌟🌟
あやうく、皿を取り落としそうになった。
震える指先を必死に押さえながら、ポーカーフェイスを保つ。
危ない……
俺は、苦笑して首をふった。
「……そんなわけないでしょう」
「そうかな。見てれば分かるよ。あなたの目。恋してる目だよ」
丸わかりだよ、とジュン王子は楽しそうに続けた。
「姫に触るなって、そういう風に威嚇されてるみたいだ」
「………馬鹿馬鹿しい」
「……身分の違いって考えたことある?」
ふと、ガラリとかわった声音につられ、つと目をあげたら、ジュン王子は、見たことがない無表情をしていた。
男前が無表情になると、迫力が増して怖い。
俺は、ドキリとして口を引き結ぶ。
「言っとくけど。あなたに勝ち目ないからね」
「……だから。私は……」
「うん。言っただけ。ただ、俺もショウも、サトコ様に本気だから。宣戦布告しとくよ」
ジュン王子は挑戦的な笑みを残して、じゃあね、と去っていった。
「……」
その場に崩れ落ちそうになる膝を、全力で支えながら、俺は、立ちつくしていた。
落ち着け……
額に冷や汗が吹き出す。
皿とグラスで両手がふさがっているために、近くにあるテーブルにそっと置いた。
落ち着け。
認めなければ、ばれやしない。
想いを寄せてることさえ、感づかれなければ大丈夫。
……大丈夫と思っていたのに。
俺は、手の甲で額に浮かぶ汗をぬぐった。
……俺のポーカーフェイスは、見破りやすかったんだろうか。
なぜ、分かったのだろう?
気分が悪かった。
変にドキドキする胸が息苦しくて、何度も深呼吸を繰り返した。
身分の違い……?
おまえに言われなくたって知ってる。
そんなこと分かってる。
痛いほど、分かってるさ……!
息苦しくて目眩がしてきた。
肩で大きく息をする。
少しだけ、外の空気を吸いにでよう。
気持ちを早くリセットしないと、勘のいいサトコ様にバレる。
俺は、そっと広間を抜け出し、バルコニーから外に出た。
