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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


Satoko


広い部屋に高そうな調度品。

パーティーが開かれている会場から少し離れた別室に案内された。
櫻の国の召し使いに誘導されるままに、部屋の奥に進む。
ヒールが沈むほどのフカフカの絨毯を横切り、テラスにほど近い大理石の床を歩く。

お茶を楽しむためにあるのか、脚に細工が施されている繊細なつくりのテーブルと椅子が、窓辺におかれていた。

「どうぞ」

穏やかな手つきで椅子をひかれ、黙って腰かけた。

「今、お茶をお持ちします」

一礼してさがってゆく召し使いに、頷き視線を外にやった。

大きな窓からは中庭が一望できる場所のようで、咲き乱れる花を望むことができる。
庭の中央には、大きな噴水があり、パシャパシャと水音があがっていた。
水しぶきが太陽の光をキラキラと反射していて、美しい。

綺麗だなあ…と、ぼんやり眺めていたら、せわしないテンポでコツコツと近寄ってくる足音がした。

「あのっ……なんか、すみません…いてっ」

とんでもなく焦った声でやってきて、向かい側の席にあたふたと座るショウ王子。
足をぶつけたみたいで、いてーっと呻いてる。

「……大丈夫ですか?」

……おいおい。落ち着けよ。

俺は、強引なセッティングにちょっぴり腹立たしく思っていたが、ショウ王子のあまりにピュアな反応に、思わず笑いがこぼれた。

思い出したよ。
俺の国で開いてやった、くそ面白くなかったティータイム。

でも、あのときはアウェイで、緊張しまくっていたせいだろうか、という気がしてきた。
それほどまでに、今、目の前で照れ笑いしているこの王子は、これまでと印象が全く違う。


「大丈夫です……っ…えっと、紅茶用意させてますんで、もう少し待ってくださいね」

「……はい」

ニッコリ頷いた。


くるんとした大きな瞳。
シャープな顎。
少しポッテリしてる唇。
童顔だが、瞳の色は意思が強そうで。

邪気のない笑顔をみて、俺は、またそっとため息をついた。

……分かってる。
仕組んだのは。あの親父さんで、ショウ王子は何も悪くないって。

だけど、こんなやり方はあまり好きじゃない。
ひっそり参加して、流れるように帰ろうと思っていたのに、これじゃ、俺が花嫁候補の筆頭です、と、皆の前で公言されてしまっているようじゃないか。

しかも、親父さんお墨付き。

マジ勘弁だ。


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