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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


衛兵から目撃情報がもたらされたのは、それからすぐのことだった。

城の入り口の警備をしている衛兵が、パーティー中盤に、ミヤらしき人物が出ていくのを見かけた、という。

ジュン王子が硬い表情で、報告してくれるのを、騒ぐ胸を押さえながら聞き……唖然とした。


「城から出ていった……?」


……なぜ?


ジュン王子が、続ける。

「服装と背格好が一致してるので、まずミヤさんで間違いないか、と。でも、ミヤさんは一人じゃなかったらしいんです。正確には、抱き抱えられて……出ていったそうです」

「……抱き抱えられて?」

「はい。具合が悪くなったから、一足先に戻って休ませる、と。ミヤさんを抱えた人物は言っていたようで……」

「なに……それ」

俺は、小刻みに震える手をおさえることができなかった。


なんだよ……。
つまり、さらわれてんじゃねーかよっ!


ショウ王子が、ジュン王子の報告の捕捉をするように、緊張した声音で、続ける。

「確認したら途中退出の男爵が、一名おりました。今、話を聞きに、屋敷に兵を数名向かわせてます」

ショウ王子が、真剣な瞳で、俺を見つめた。
俺は、ゆっくり頭を下げた。


「……すみません。……お手数おかけします……」

「謝らないでください。謝るのはこちらだ。祝いの席で、こんな騒動をおこすような人間を招待したのは、こちらのミスです」

すみません、とショウ王子が深々と礼をする。

俺は小さく首をふった。

とにかく無事ならそれでいい。
貴族でも、王族でもないミヤをさらって、得することなんて、あるはずがないんだ。

狙いが、見えないから……怖い。

「……サトコ様。別室にご案内します。ソファーで待ちましょう」

ショウ王子の穏やかな声音。
ふわりと暖かなショールをかけられ、体が震えていたことに気づく。

「大丈夫。すぐ連れ戻しますよ」

ジュン王子が優しく言い含めてくれる。

二人の王子に促され、俺は頷いて、歩き出した。

しっかりしなくちゃ……しっかり。

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