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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


ミヤの傍らに突っ伏して嗚咽する俺を、周りの人間はしばらくそっとしておいてくれたが、

「……姫。ちょっとミヤさん診てもらいましょう
。医者を呼びました。手当ても必要でしょう?」

ショウに優しく囁かれて、……はい、と頷いた。

ぐすぐす泣く俺に、ジュンがハンカチを差し出してくれる。

「どうぞ」

「……ありがと」

後から後から溢れる涙。
安堵と、やるせなさで、立ち上がることができない。

「……俺につかまって」

ジュンが肩を抱いてくれて、ようやくフラフラとその場に立ち上がる。

ベッドを背にして鎮座する大きなソファに連れていかれて座らされた。

「……ちょっと待っててくださいね」

ジュンに優しく言われて、こっくりと頷いた。




ひそひそと後ろで交わされる声。

「暴力」

だとか。

「蹂躙」

だとか。

「暴行」

だとか。

俺に聞かせないようにしてくれてるから、全貌は分からないが、時折不穏なワードが耳にとびこんでくる。

そのたびに、心臓がグッとつかまれるような苦しさが襲う。

最初は聞きたくない、と思った。
服をつかみ、ぎりっと歯をくいしばって、我慢しようとした。

だけど。

何より、一番辛かったのは、ミヤなんだ。

俺じゃない。

俺は、直接の被害者じゃないから、……だからこそ耳をふさいだらいけない気がする。
目をそらしたらいけない気がする。

……むしろ、知らなきゃいけない義務がある気がする。


そう。
知らなくていいはずが……ない。


くしゃくしゃになるほど、ドレスをぎゅうっとつかみ、……決心する。
俺はゆっくりと立ち上がって振り向いた。

顔をつきあわせて真剣な顔をしていた三人の王子が、驚いた顔で、俺を見た。

「……何があったのか。私にも教えてください」

「……姫……」

「私はあの者の主人です。真実を知っておかないといけないと思うから」

三人は顔を見合わせ、どうする?といったように目配せしあってる。
だけど、俺が、じっと唇を結んで、しっかりと三人を見据えているのを見て。

ショウが静かに口を開いた。

「……わかりました。一番状況が分かってるのがマサキのようなので。マサキに説明させます」





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