テキストサイズ

キラキラ

第23章 🌟🌟🌟

Masaki



急いで相の国をでたのだが、出る時間が遅かったせいか、櫻の国との国境を超える頃には日が傾き始めていた。

ショウ王子の誕生日パーティーと、別国との会食が重なり、パーティーの出席はあきらめていたが、お祝いには行こうと思っていて。
父上の許可をとり、俺の世話をしてくれているダイゴと共に、馬車に乗り込んでいるのだ。

「……夜までにはつけるかな」

「おそらくは」

俺が呟いたら、ダイゴは、柔らかく笑った。

プレゼントも用意した。
ジュンも来ているだろうし、今夜は三人で飲み明かそう。
楽しい夜になりそうだ。

ふふっと笑って、馬車の外を眺める。

遠くの山あいに日が沈みかけていて、広い空は、赤とオレンジの綺麗なグラデーションに染まっていた。
広大な丘を、がらがらと音を鳴らしながら、櫻の国の城を目指す。


一ヶ月前、一足早く、18になった俺に、「すぐ追いつく」と笑っていたショウちゃん。
幼き頃、同じ年だから、と気が合い、パーティーの席で会うたびに、遊んでた仲だった。

一つ下には松の国のジュンもいて。
三人で、洋服を汚すほど遊んでは、それぞれの母に笑われたっけ。


ふと、馬車の速度がおちた。

ダイゴと二人顔を見合わす。

「?」

と、思っている間に、どんどん速度が弱まり、ついには止まってしまった。

「……どうした?」

馬車の小窓から、ダイゴが御者に確認をとる。
二言、三言交わして、ダイゴは戸惑うように俺を見た。

「前方に、人が倒れているようです。……どうします?」

「どうするって……どうもできないじゃん」

「ですよね……ちょっと、どかしてきます」

「気をつけろよ」

ショウちゃんの国は治安もいいから大丈夫とは思うけど。
変な輩は絶対にいるものだから。

大丈夫です、と力強く頷き、ダイゴは扉をあけ、ひらりと飛び降りて、走っていく。

すると、五分とたたないうちに、戻ってきた。

「早かったな、ありがと」

「や。違うんです。あの……倒れてる方に見覚えがあって」

「……え?」

息を切らせてダイゴが、告げる。

「僕の記憶違いじゃなければ……大の国の方かな、と思うんですが」

「……見間違いじゃない?こんなとこにいるわけないじゃん」

「ですよね……でも、着てるものも高価だし、ほら、あの……サトコ様についてる小柄な方によく似てるんです」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ