キラキラ
第3章 フラワー
しまった、と思ったのは、朝、届いた潤からのメッセージ。
『おはよう。今晩、久しぶりに飯いかない?』
……なんで、このタイミング……
画面を見つめたまま、頭を抱えたくなった。
…………困った。
潤とは会いたいが、今日の約束も大事だ。
スマホを持ったまま、リビングをうろうろと意味もなく歩いてみても、名案がうかぶわけでもなく。
キッチンにおかれた、バリスタマシンに手を伸ばし、コーヒーを一口飲んでから、腹を決めた。
『ごめん。知り合いと食事に行く約束をしてるんだ』
……既読。
無言。
(だよな)
俺は続けて画面をタップする。
『ちょっと遅くなるけど、終わったら、行ってもいい?』
……既読。
『待ってる』
即、返事がきた。
あまりの早さに笑ってしまった。
カップをシンクにおき、着ていたTシャツを脱ぐ。
今日はこれから、取材。昼からピンの収録。
シャツに腕を通し、ボタンをかけながら、潤のスケジュールも思い出す。
(あ…あいつ明日オフか)
と…すると。
(うーん…)
泊まっていけ、となるよな。
泊まっていけ、ということは、……そういうふうになるかもな……。
ボタンをかける手がとまる。
俺、……大丈夫かな。