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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟

静かにしゃくりあげるカズの白い背中をさする。
 
シーツを腰までひきあげ、カズを抱き寄せて、呪文のように、何度も大丈夫だよ……と囁いた。

俺の胸が、カズの吐息と涙でしっとり濡れてきた。

「……っ……ぅっ…ごめ……っ」

「いーって……気がすむまで泣けよ……」

「…………っく…んっ」

カズは、なんでも我慢して自分で解決しちゃう男だから。

櫻の国にいたときは、俺との別れ話の方がみんなの興味のウェイトを占めてしまってたけど、実際問題、この心の傷も根深いはずだった。

お前に捨てられるかもしれない恐怖で、俺がポンコツだったばかりに、フォロー足りなかっただろうね。
ごめんね、カズ。

ま、そもそも、あの時に俺をポンコツにしたのは誰なんだって話にもなってくるけど。そこらへんは流しといてあげる……。

「泣いたらさ……スッキリするから。いっぱい泣きなよ」

「……」

すり寄ってくるカズが、愛しかった。




やがて。
ひくっとしゃくりあげてた肩が、徐々におさまってきて。

ふーふーという深呼吸とともに、涙に濡れた睫毛を瞬かせて、カズは、ゆっくり俺を見上げた。

「……大丈夫?」

「うん……ありがとう」

そっとそっとカズの背中を叩き、呼吸の安定を促す。
カズは、ふーっとひときわ大きなため息をついて、気持ちを切り替えるように目に力をこめた。

「……行為も怖かったしさ……死ぬかもしれない、もう二度とサトシに会えないかもしれないって思ったこととか、……いろいろ思い出したら体が動かなくなった……ごめん」

ボツりボツりと語るカズをぎゅっと抱きしめた。

「ううん。怖いのは当たり前だよ……」

切なくて、愛しくてたまらないこの腕の中の人が、消えてしまうかもなんて……俺だって怖いよ。

カズが、俺の胸に頭を預けたから、俺は、また、ぎゅうっとその細い身体を抱きしめた。

「…ねぇ。もう俺に、結婚しろなんて言わないでね」

「……うん」

「俺はカズじゃないと嫌だから」

「……うん」

「国のことなんか考えなくていいからね?」

「……ほんとに?」

「俺がいいってんだから、いーの!」

「…じゃあ……そうさせてもらおうかな」

ふふっと微笑んだカズの髪の毛に、俺は優しくキスした。

「好き。カズ」

カズは頷き、俺の首に腕をまわした。

「俺も……サトシが好き……」

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