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キラキラ

第3章 フラワー

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智くんの、マネージャーに、店まで乗せてもらう。
智くんおすすめの、都内の隠れ家的な居酒屋。魚が美味しいらしい。

店内は全体的に光がしぼってあり、客層も比較的年齢が上の人が多く、穏やかな落ちついた雰囲気の店だ。
智くんは、常連みたいで、あっさりと一番奥の個室を案内された。


「何飲むー?」

メニューを見せて、ニコニコ笑う智くんに、俺もつられてふふっと笑ってしまう。

「うーん、…ビールかな、やっぱり」

「ん、分かった」

店員を呼び、智くんが、適当に2つ3つ注文する。

運ばれてきたビールは、やたらと洒落た背の高いグラスに入ってた。

生中頼んで、こんなお洒落なグラスできたのは初めてだ。

「はい、乾杯」
「うん」

目の高さまで持ち上げて、半分まで一気に飲んだ。

「はー…美味しいね」

言って、智くんは、首をかしげて、俺の目を覗きこむようにして、見つめてきた。

「なんだか、翔ちゃんとサシで飲むのって久しぶりだね」

無意識なのか智くんは、時々こういう目をする。
まっすぐな、何もかもを見透かしてくるような澄んだ目。
なんでも受けとめてくれそうな優しい光の前に、思わず、自分の中身を洗いざらい吐露してしまいたくなるんだ。


「……そうだね」

俺は、ニッコリ笑って、運ばれてきた刺身に手をつけた。


俺たちは、それからたくさんの話をした。

仕事のこと、メンバーのこと、最近みた映画の話に、釣りの話。

仕事で、二、三日に一回は顔をあわせてるはずなのに、話題がつきることはなく。
智くんおすすめだけあって、刺身も煮付けも天ぷらも、とても美味しくて、それらを肴に、アルコールもすすんだ。


ビールから焼酎、冷酒へとかわっていくなかで、……ふと、話と話のエアポケットのような間がおりた時に、俺は、いよいよ決心した。

気づかれぬよう、ふうっと深呼吸する。

「……ね。智くん」

「ん?」

「引かないでね?」

「……? うん」

「………男同士のシカタを、教えてほしいんだ」

智くんの目が、丸くなった。

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