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キラキラ

第24章 バースト5

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「だーかーら。これじゃ解けないって言ってんじゃん」

「……ええ?どれ……?」

「これ。と、そっち」

赤のボールペンで盛大なチェックをいれられた。


くっそー…


本日の家庭教師を努めてくれてるかずの前で、さっきから頭を抱えてる俺である。

俺の壊滅的な物理を立て直すための、かずの特別講義。
この先生は、普段は穏やかなくせに、こと勉強となるとSっ気を出してくる。
嬉しそうな顔で、ダメ出ししてくるところなんか、軽く鬼に見えるっつーの。

「ほらほら。さっきの問題と類似してるとこあるじゃん」

「うー…」

いくつかの公式にあてはめて、うんうん、と数字をこねくりまわしてる俺に、……ふとかずが口を開いた。


「ねぇ……潤くんと翔さんってさ、どこまでした?」

「……え」


……はい?

解けかけてた数式が綺麗にとんでった。

どこまで?

って、……どこまで!?

意味を理解すると同時に、かあっと瞬く間に顔に血が集まる気がした。

「えっと……」

リビングにいる俺らの声が、自室で勉強中の翔に聞こえるわけはないのに、焦りながらも自然と声が潜まる。


「……えっと。それはどういう……」

「昨日は?したの?」

「……」

「じゃ、キスは?」

「………」

とても頷けないが、俺の表情でかずは、分かったみたいで。


「ふうん。エッチはやんなかったんだ?」


なんで、こんな話題をナチュラルにできんだ、こいつは!

俺は、動揺しながら、おどおどと頷いた。


「……うん。寝ただけ……だけど」

「一緒に?」

「……いや、別々に……」

「……ふうん……」


かずが、面白そうに笑うから、俺はどういう顔をしてよいのか分からず、書いてた数式の答えをわけもなくグルグルと丸をつけた。

俺の戸惑う口調に、かずは、上目遣いになり、ふふっと口角をあげた。

「……翔さん、相当、潤くんを大事にしてるね」

「……え?」

「だって半年でしょ?半年たって、キスだけって、あの人にはありえないよ」

パラパラとテキストを繰りながら、かずは意味深な顔になる。

「……そうなのか?」 

「そーだよ。本来の翔さん、手早いもん」

「そうなのか!?」

紳士な顔して、ムッツリか!!






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