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キラキラ

第1章 アーモンド

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J

「はい、もー少し、顎あげてくださーい、そう、いいよー」

カメラマンの指示にしたがって、視線を流した先に、翔くんの姿が見えた。

一瞬ドキリとして、呼吸がとまる。

思わず目をそらせると、
「あー、ダメダメ、さっきのちょうだい」
カメラマンが、再び指示を出す。
「はい…」

嫌でも目に入る翔くん。
片隅で腕をくみ、スタッフさんと何やら話し込んでる。
ニコッっと笑った翔くんの唇が、さっきのキスを思い出させて、急激に鼓動が早まった。

(…集中しろ)

深呼吸して、プロの仮面をかぶりなおす。
素の自分をみせたらダメだ。
ギュっと目をつぶり、腹に力を入れた。


「はい…はい。いいでしょう、お疲れさまでーす」
「…ありがとうございました」

なんとか、終わった…。
顔色にだすこともなく。
(偉い、俺…)
あとは、一刻も早く楽屋に戻って。

「あ、松本さん、もうワンカットお願いしますね、櫻井さんと二人で」
「は…え?!」

(聞いてねえええっ)

蒼白になった俺の前で、カメラマンが、さくらいさーん、とのんびり声をかけてる。

翔くんが、ゆっくりこちらに歩み寄ってきた。

「あれ、一人ずつじゃありませんでしたっけ?」
思わず上ずってしまう問いかけに、そばにいたマネージャーが
「急遽です。ページが増えたんだそうですよ」
サラリと言ってのけた。

(涼しい顔していうなよ…)

落ち着かせてた心臓が、再びうるさい音をたてはじめた。
手のひらにじんわりと、汗をかいてる。

メイクさんやスタイリストさんが、俺のまわりを囲み始めたけど、正直倒れそうだ。

(どうしよう…)

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