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キラキラ

第24章 バースト5

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プライベートで、雅紀と駅で待ち合わせをするなんて初めてだった。

既に到着していた雅紀は、黒のスキニーパンツにカーキ色のジャケットなんて出で立ち。
グレーのマフラーに顔を埋めて、スマホをいじってる。
普段、制服とジャージ姿しかみてないから、なんだか新鮮だ。

ていうか、顔も小さくて手足も長いあいつがあんな格好して立ってたら、モデルみたいだ。

女の子たちが、思わず振り返ったり、遠巻きにみてたりする。
なんなら、おばさまがたまで、チラ見してたりしする。
当の本人は、そんなこと気づきもしてないんだけど。

……近づきたくねぇな。
目立つんだよ…お前は。

「あ、潤!おっはよー」

思わずその場に立ち止まっていたら、ふと顔をあげた雅紀に見つかった。

苦笑いながら、近づくと、スマホをしまいながら雅紀は太陽のような笑顔をみせた。
そして、俺を上から下まで観察したあげく、

「……格好いいな、潤」

なんて、呟く。

「は。お前にいわれたかねーよ」

皮肉げに笑って、ぽんと肩をたたいた。
雅紀は、キョロキョロあたりを見回す。

「かずは?」

「先に行ってるはず」

智さんを見失わないように、家を出たところで待ち伏せて後をつける、という探偵まがいなことをするって、張り切っていた。

うまくやってたらいーけどなあ。

腕時計に目をおとすと、ジャスト10時。
さっきラインに、家をでた、とかずから連絡が入ってた。
もう一度画面をひらくと、電車に乗ったよという文字が浮かび上がる。

こちらは雅紀とおちあった、と手早く送信すると、乗ってる電車の路線名がとんできた。

俺たちも続いて電車に乗ろうと改札をくぐると、
早くも、

『おりたよ』

頭に直接響くかずの声。

ラインにのせるのが面倒になったのか、かずはチカラを使い始めた。

チカラは、精神力も、体力も削られる。

ただでさえ、あいつひ弱なくせして、調子にのったら、動けなくなって、大変なことになるじゃないか。

チカラ使うのは、そこそこにしとけよっていつも翔が言ってるのに。

駅名を告げられて、了解と返事をしたら、含み笑いが聞こえた。

まるで、分かってるって。うるさいな、とでも言われているかのように。

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