
キラキラ
第24章 バースト5
駅から直結してるショッピングモールのど真ん中。
誰もが待ち合わせ場所に使ってる大きな時計台をかずに指定され、雅紀と急ぎ足で向かう。
『智さんは時計台の二時方向に立ってるから見つからないように気をつけて。俺は、真逆にいるよ』
再び頭に響くかずの声。
心なしか楽しそうに聞こえる。
俺は短く返事をした。
「了解……聞こえた?」
「うん。かずの声でしょ。聞こえた」
雅紀と笑いあい、時計台に向かう。
俺も雅紀も背が高いから、人混みにまぎれることが難しい。
遠目から人待ち顔で佇む智さんを見つけると、慎重に、踵をかえし、背を向けた。
フロアを大回りして、ようやくかずの姿を発見する。
時計台の死角にちょんと座ってるかずは、別の意味で目立っていた。
高校生男子で、こんなに白いダッフルコート似合うやついる?
アイボリーのマフラーにくちもとをうめて、袖口からは指先しかでてなくて。
女の子みたいだ。
「可愛いー!かずー!」
「しーーーっ!ばかっ」
満開の笑顔で今にも飛び付きそうな勢いの雅紀に
、かずは大慌てで、口の前に指をたてた。
「ご、ごめん」
ぱっと自分で自分の口を覆って、目を白黒させる雅紀。
俺もバレたか、と、ドキドキしながら、智さんの方をこっそり盗み見た。
だけど、智さんは、手元のスマホをいじりだしてて、周りが聞こえてなかったみたい。
ほっと胸をなでおろしてると、かずが、眉間にしわをよせて、雅紀に、バカバカって小声で言ってる。
雅紀は、小さくごめぇん……って小さくなった。
俺はふふっと笑って、時間を確認した。
現在10時50分。
……てことは、11時に待ち合わせかな?
智さんに目をむけると、彼はいつもの緩いふんわりした空気のまま佇んでいる。
時々目をあげて、周りを見渡し、またスマホに目をおとす。
昨日クシャクシャだった少し茶色い髪は、ふわふわと綺麗にセットされていて。
着ているネイビーのピーコートに白いタートルが、上品で智さんによく似合っていた。
見た目、華奢で守ってあげたい系の智さんは、大野家では骨太な男らしい家長。
……だけど。
……恋人の前ではどんな風に微笑むのだろう?
すると。
智さんが小さく手をあげた。
三人で、智さんの視線の先を追う。
どの人だ?!
