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キラキラ

第24章 バースト5

ぽいぽいと、自動的に靴を脱がされ、ふわりと脱衣所におろされた。

翔が険しい顔をして、全身ずぶ濡れの俺を見て、

「脱いで」

という。

「全部、脱いで浴室乾燥機につるしとけば、夕方には乾くだろ。風呂終わったら、干してやるから。それまで、俺の服着とけよ」

ほらほら、とジャケットを脱がされるが。

俺は目のやり場に困って、固まったまま。

……翔の裸なんか初めてみた。

着痩せするタイプなのか、細っこいと思ってたけど、割と筋肉質だ。
白い肌は、つやつやしてて、お腹もしまってて。
彫像みたいだ、と思った。

「うわ、おまえ、手つめた……!」

俺の上着を脱がせながら、触れる手に翔が目を丸くする。

「…」

黙ってされるがままになりながら、俺の目は、ずっと翔に釘付け。
うなじから肩のラインも、筋肉が盛り上がってて。
本気で力をだされたら、きっとかなわない。

正直、チカラ抜きの力は俺の方が上だと思ってたから、ちょっと焦る。
これ組み敷かれたら逃げれない……きっと。

「ニットは大丈夫そうだな」

俺のニットに手をあてて、翔がホッとした顔になる。

その温かい気配に我にかえった。

…いや。

いや、これまずいって……!

現に俺の心臓はどくどくいいすぎて、さっきから変に息苦しい。

「……あの」

「下も脱げよ。ジーンズの色かわってんじゃん」

脱げるかよ!!

こんな事態になると思わなかった。
予想外の展開に、頭がついていかない。

ぐずぐずしてたら、翔が、ふと気づいたように妖しく笑った。

「……照れるとこじゃねぇだろ。なんなら俺が脱がそうか」

「…ううん。自分で脱ぐ」

脱がされたら大変だ、と、俺は意を決して、前ボタンをはずし、ベタベタのジーンズをえいやっと脱ぎ捨てた。

しっかり染みこんでた雨水は、下着もしっとりと濡らしていて。

「そんなんは、洗濯してやるから、カゴにいれとけよ?」

ジーンズとダウンを受け取り、「とりあえず、ハンガーかけてくるわ」と、バスタオル姿のまま、翔はリビングに消えた。

俺はホッとして、全部脱ぎ捨て、まだ温かい風呂場に足を踏み入れた。

今の今まで翔が入ってた風呂。

香るシャンプーやソープに、訳もなくドキドキする。

コックをひねり、熱いシャワーを頭から浴びると、冷えきって緊張していた体が、ゆっくり緩んでいくのが分かった。

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