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キラキラ

第24章 バースト5


はぁ…と息をついて、しばらく頭からかぶる湯に身を委ねる。

氷のようだった指先がじーんと音をたてて溶けていってるかのよう。

湯に顔を向けて目を閉じる。
瞼の裏に映るのは、さっきの翔。

綺麗な肌をしていた。
男らしい胸板だった。

いつもあんな人に抱き締められ、キスをされているんだ……俺。

「……」

ドクドクとまた心臓が早くなり始めた。

もし。
もしも。
あの人とひとつになれたら……俺はどうなるだろう。
現状、俺が翔を組み敷く可能性はゼロだが、逆は……あり得る話で。

あの唇が俺の肌を伝い。
あの指先が俺の……

「……やべ」

想像したら変な気分になってきた。 

……こんなとこで何やるつもりだ、俺は。

ゆるゆるたちあがりはじめた中心に、震える手をかける。

駄目だよ…静まれ。

バシャバシャ湯をかぶる体。
湯の当たる場所は、熱く。
体のうちからも熱くて。

誘惑に抗いきれず、その右手に力をこめようとした瞬間だった。

「さむーっ!!ちょっと邪魔するぞ!!」

「!?!」

バターンという音をたてて、いきなり翔が乱入してきた。

心臓が口から飛び出したかと思った俺をよそに、翔はそのまま湯船に飛び込む。

ザブーンと揺れた水面が、バシャバシャ浴槽からたくさんあふれでた。

翔は、肩までつかって、うーっ生き返ったー!と唸ってる。

生き返った、じゃねーだろ、バカっ!!
入ってくんなよっ!!

「風呂上がりの裸で、あちこち用事してたら、冷えて……って、おまえマジ??!」

「……翔が悪いんじゃん!!」

頭を抱えてその場にしゃがみこんだ俺に、翔が悲鳴をあげたから、思わず怒鳴り返した。

キンという耳鳴り。
白く狭まる視界。
チカラが発動される前兆だ。

「だーっ!ちょっと来い!!」

俺はふわりと浮き上がり、浴槽にほおりこまれ、ガッシリと翔につかまえられた。

「こんな格好で二人外に跳んだら、寒さで死ぬぞ!」

その前に恥ずかしくて死ぬよ!!

言ってる間にも、翔は俺を向かい合うように跨がらせ、ぎゅうっと抱き締めた。

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