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キラキラ

第24章 バースト5


柔らかなものに顔をうめてる感覚に、ゆっくりと目を開けた。
パチ……と、何度か瞬きをする。

鼻腔をくすぐるのは、俺の一番好きな翔の香り。

布団をかけられ、俺はどうやら、しっかりと翔のベッドで眠っていたようだ。
うつぶせて、枕を抱えて、まるで翔の香りを抱きしめるように。

ゆるりと視線を動かすと、勉強している翔の背中が見える。
そのまま、俺はしばらくじっと翔を見つめていた。

少し考えながらシャーペンを動かし、電子辞書のピッという音がしたと思ったら、参考書を捲る音。
翔がつくる、音、全てが心地いい。

柔らかそうな黒髪をかきあげて、ふぅ……とため息をつく翔。

瞬間。さっきの色っぽい彼を思い出した。

俺を支えるたくましい腕。
俺を追い上げる手のひら。
俺に、イけ、と囁く声音。
イッたあとの彼の弾む吐息……。

翔と初めて、体を触れあわせた。
女を抱いたこともない俺は、裸を他人に晒すことも初めてなら、やらしいことをするのも初めて。

今思っても、モーレツに恥ずかしいが、ものすごく気持ちよかったのは事実。

さらに、好きな人間と素肌を触れあわすのは、とても幸せだということも判明した。

…これ、翔と体を繋げることができたら、俺、泣いちまうかもしれない。

怖くなんてない…きっと。

だから、俺をもっと求めてくれていいよ…翔。

きこえるはずのない想いを心で呟きながら、柔らかな布団に包まれ幸せにひたってると、翔がふとこちらを振り返った。

「……あれ」

「………」

なんで、こっち向くんだよ!

ストーカーみたくじっと見てたのがばれちゃったじゃんか!
気まずくて、何か言おうと口をひらきかけたら、翔がにっこり笑った。

「……しんどくないか」

「あ……うん」

「なんか飲めよ。おまえ、すごい汗かいてたのに、気を失っちゃうから心配したぞ」

翔は、ベッドサイドに置いてある水の入ったペットボトルを指差した。

「……ありがと」

ゆっくりと体をおこす。
翔のスエットを着せてもらってること、そんなことにも幸せを感じる。

ペットボトルに手をかけようとしたら、傍らからのびてきた手が、すっとそれを奪い、あれ、と思って顔を上げた。

翔が、優しい顔をして、蓋をあけ、一口二口その水をあおり、俺の後頭部を支えたかと思うと……唇をあわせてきた。

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