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キラキラ

第24章 バースト5


生ぬるい水が、少しずつ口内に注がれる。
こくりと、喉を鳴らしてそれを飲むと、翔の指が俺の髪の毛をくしゃりとつかみ、さらに深く顔を寄せてきた。

翔の柔らかな唇が、俺の唇を優しく包み、熱い舌がするりと潜り込んできて。

「……ぅん」

さっきのような甘い声が俺の鼻からもれた。

ヤバイ。また変な気分になっちゃう。
翔の邪魔になりたくないのに。

「しょ……んぅ…」

「…はっ…ん…潤……」


翔が角度をかえて、再び舌を差し込んできたから。
震える手を、翔の背中にまわそうとしたその時、

コンコン、という軽いノックの音がした。

翔が、はっとしたように唇を離し、俺もぎくりと、体を震わせる。

ドアの向こうからぽつりと聞こえる声。

「……翔?」

……智さんだ!


翔は、正気に戻すように大きな手のひらで自分の顔を軽く叩いた。

「……はい」

そうして見事なまでになに食わぬ顔になった。
だが、入ってきた智さんが俺を見るなり、

「……お邪魔だったかな」

と、言ったから、俺は真っ赤になってしまった。
翔は、何いってんだよと、苦笑いだ。

バレバレじゃんか!!

慌てて、蓋の空いてたペットボトルをつかみ、ゴクゴク飲んで誤魔化した。

智さんは、今、帰ってきたみたいで、コートを脱いだよそ行きの格好だった。
本当に、今日は、恋人とは会わなかったんだな。

「早いじゃん」

「ん。だって個展みただけだからな」

「誰の?」 

「堂本先輩。で、諒さんと飯食って帰ってきた。……かずは?」

智さんがこちらをみて、首をかしげるから、俺は慌てて説明する。
もちろん智さんを尾行した話は省く。

「……そっか。相葉くんとなら帰りはそんなに遅くならないかな」

「あいつなら、かずを送ってくれそうじゃね?」

「確かに」

兄弟二人クスクス笑ってる。
傍で見てる俺も全くの同感。

雅紀。お前はすごーく信頼されてる彼氏だぞ。

「潤は?夜までいるんだろ?」

智さんが当然のように尋ねるから、ふるふる首をふった。

「いえ、俺、もうすぐ帰りますから」

「何いってんだよ。まだジーンズ乾いてねぇぞ」

「いや、でも……」

翔の勉強の邪魔になりたくない。
二日前におしかけたばかりなのに。

「いーから。いろ、ここに」

と、ピシャリと翔に言われた。

その強引な口調が無性に嬉しかった。

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