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キラキラ

第24章 バースト5

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Satoshi


クリアファイルを手にとりながら、最後の数字を入力し、エンターキーを押した。
ふう……と、深く椅子にもたれて目を閉じため息をつく。

腕時計に目をおとせば、針は午後3時前。

終業時間までもう一頑張りというところだが、とりあえず一段落したから、コーヒーでも飲みにいこうと、席をたつ。

パソコンのキーを操る音と、すこしの会話しか聞こえない静かなフロアを出て、ひんやりとした廊下を進んだつきあたりにむかう。

社員の休息の場になってるそこは、小さなテーブルと椅子が何セットか設置されており、三つほどの自販機が、ブーンと静かな音をたて稼働していた。

コインを投下し、コーヒーを買って、端の誰も使ってないテーブルに腰をおろす。

軽く振った缶のプルをあけて、一口。
キンとよく冷えた苦味が喉を通り、ぼんやりしてた頭が少しすっきりした。

何気なくスマホをポケットから出してみると、

「……」

メッセージ有りを示すランプが点灯してることに気づく。

アプリを開けば、

……昌宏さん……

珍しい時間に彼からの連絡。

『知り合いが鯛を釣ったぞ。刺身にしてやるから、今夜うちに来ないか』

男前なスタンプと共に、嬉しいメッセージがそこにあった。
思わず顔がにやけてしまう。
基本、翔たちの手前、平日にはあまりデートはしないようにはしているのだが。

こーいうのは……いいよね?

『ありがとう。終わったら行くね』

画面をタップすると、すぐに既読がついてビックリした。
そしてすぐ了解のスタンプが送られてくる。

……あの人仕事してるの?

大手の会社の管理職の立場のはずで。
そんな、スマホを開きっぱなしにしてる余裕ないと思うんだけどな。

俺は、クスッと笑い、次に翔にメッセージを送りかけて、考えた。

今日は、あいつ授業のあと、学校の図書館に残るって言ってたような気がする。
夕飯用に、何か朝から仕込んでたなぁ。そういえば。
あいつも遅くなるんだろうか。
誰も帰ってこなかったら不安になるかな。

「……かずにも送っとこ」

部活をしてないあいつは、そろそろ下校のはずだった。

『帰り遅くなります。夕飯いらないです』

タップ。
すると、またもやすぐに既読がついて、🆗です、のスタンプがかえってきた。

「……」

なんで、みんなこんなに返信早いの?

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