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キラキラ

第24章 バースト5


翔とならんでベッドによりかかり座る。

ローテーブルなんて洒落たものはないから、二人の間に直接、ポテチとココアを置いた。

あったまるー……と、マグカップを両手で抱える翔に、俺は、お疲れ様、とやっと言うことができた。

「……試験。できた?」

「まあ……多分な。全力は尽くした」

言う翔の目は、自信に満ちあふれてて、なんだか安心だ。
数週間後には、合格パーティーだね。

「さすが」

「そりゃ、ここでこけたら、お前とゆっくり過ごせる日が遠ざかるだろ。そんなのごめんだ、と思って、すげー勉強したもん」

「……」

こういう台詞にはどういう顔をしたらいいんだか。
照れるやら、恥ずかしいやら、嬉しいやら。

翔がモテてた訳が分かる気がする。
こいつは、天性のタラシかもしれないな。
この顔で、この台詞を囁かれたら、女の子はイチコロだ。

そして、そんな女の子たちと、おそらく同じ反応をしてしまっている自分がいる。

くそ……なんだか、恥ずかしい。

赤くなった顔を、悟られまいと、うつむいた。

「なあ」

「……ん?」

「もっとこっち。来いよ」


翔が、ポテチの袋をおしやり、妖しく笑いながら自分の横の床をトントンと叩いた。

「……」

ストレートに、気持ちや欲求を伝えてくる翔に、結局抗えない自分がいる。

俺は、持ってたマグカップを、コトンと反対側において、もそもそとお尻を動かし、そっと翔との距離をつめた。
とたん、ぐいっと肩を抱かれ、翔の胸に密着する。

ドキンとして、翔を見上げたら、翔は、優しい瞳をして、俺をみつめていた。

「……翔」

「……触れていい?」


……いや、もう触れてるし!

心で突っ込みながら俺は頷いた。


「…………うん」

翔は、体の向きをかえ、俺を正面からぎゅうっと抱き締めた。
かあっと顔に血がのぼる。

でも、それ以上に、嬉しくて。

俺は、おずおずと両手を翔の背中にまわした。

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