キラキラ
第24章 バースト5
意識を失っていたのは、ほんの数十秒だったみたいで。
「ぅん………っ」
体からなにかが引き抜かれる感覚に、目をあけたら、困ったような顔をしてる翔がいた。
「………油断したわ」
苦笑いながらぼそっと呟いて、後始末を始めた翔。
ぼんやりしたままの頭でも、なんだか自分の置かれてる場所がさっきと異なることに気づいた。
「………え」
大好きな香り。
自分の部屋とは違う肌触りのシーツ。
ひやりとした空気は、暖房をたいていない部屋であることを表す。
「………あれ」
わけのわからなかった頭が、徐々にはっきりしてゆく。
「あれ、じゃねーわ。焦ったぞ。あのタイミングで跳ぶか?」
跳んだの………俺。
え。
「………跳んだ?!」
エッチしながら?!
思わず大きな声をあげ、飛び起きようとした。
けど、怠くて動けない。
だけど、五感すべてを使って感じるに、ここは俺の部屋じゃない。
………ここは、翔の部屋だ。
首だけ動かして、置かれてる状況を見れば、まさしく俺らは情事直後。
体液や、汗にまみれていて、生々しいったらない。
「跳んだ先が俺の部屋で、マジ良かった」
チカラおさえんの間に合わなかったから………と、呟き、翔は、手早く俺の体も手近にあったタオルでふきあげてくれた。
「ご………ごめん」
「以後、気をつけるように」
「うん………」
優しくキスをひとつしながら、寒いな、と、掛け布団を自分と俺にかけてくれる。
翔の体の温かさにすり寄りながら、翔の広い胸に頬を寄せた。
とくんとくん、となる翔の心臓の音が、俺を安心させてくれる。
「体、大丈夫か?」
「………大丈夫じゃない」
「………気持ち良かった?」
「………そういうの聞かないでよ」
「……俺は、スッゴク気持ち良かった」
「………そう」
「またしような」
「……………うん」
男らしい体を感じながら、翔の囁き声をぼんやり聞く。
幸せかも。
この怠い体も、ちょっと痛いあそこも。
翔と、愛し合った証。