キラキラ
第24章 バースト5
智さんみたいに、なれたら。
智さんのように愛されたら。
そしたらきっと、翔は、俺のそばにずっといてくれる。
そんなことを考えていたことが、バカみたいだ。
だって、俺は、俺。
智さんは智さんだもの。
あんな風に愛し合えたら、なんて考える必要なんかなかった。
裸の心で、翔と向き合うだけで、充分だった。
翔が俺をとても大事に思ってくれることが、よくわかったよ………。
「………どうした?」
エッチも、すごく優しかったしね。
肩肘をついて、俺を見下ろす翔が、怪訝そうにするから、俺は、フフっと笑って翔にしがみついた。
「………なんでもない」
「なんだよ、気になるじゃん」
「………翔は、優しいな、と思ってさ」
「ははっ………そうか?」
雰囲気が、いつも照れて言えないことを言わせてくれる。
甘ったるい時間が心地よかった。
翔が俺の顎に指をかけて顔を傾けた。
俺は、ゆっくり目を閉じた。
………その時だった。
コンコン
遠慮がちなノックの音がした。
ぎくりとして思わず、翔と目をあわす。
「………翔さん?帰ってんの?」
聞きなれた柔らかなトーンの声とともに、カチャリと音がして、扉が開いた。
「………」
「………」
「………」
逃げも隠れも、ついでに跳べもできなかった俺らは、裸の肩をむき出しにして抱き合った状態で、固まった。
そして。同じく入り口で立ちすくんでいるのは。
「………かず………」
俺たち三人の視線が絡み合った。
誰も何もいえない。
………恐ろしいまでの沈黙。
まるで、浮気を目撃された修羅場のようなシーンを演じてる気分になる。
いや、浮気じゃないけれど!
「………ごめん………」
ポツリというかずの言葉と共に、静かに扉が閉まった。
「………」
「………」
ぱたぱたと遠ざかる足音を聞きながら、もう一度翔と目を合わした。
翔が呆然として口を開いた。
「………見られたな」
「だね………」
「何してたかなんて………」
「そりゃ、わかるよね」
………マジか………と、真っ赤になり、翔が枕に顔をうずめた。