キラキラ
第24章 バースト5
「翔、おまえやったじゃねぇか。合格おめでとう」
大きな瞳を細め、豪快に翔の肩を抱いた松岡さんは、鞄から高価そうな包みを出した。
翔は、はにかむような笑顔をみせ、「ありがとうございます」と、礼をして受け取った。
「チビだったのに、ちょっと見ない間にでかくなったなぁ」
「智兄の背、こえましたよ」
翔が、開けていいですか?と、ガサガサ包みを開けながら笑う。
この年上の人に少し甘える感じは、俺らといるときは絶対にみれない翔の顔。
グラスをもうひとつ用意しながら、二人のやりとりを微笑ましく眺めた。
翔よりも頭ひとつぶん大きな松岡さん。
短く刈った髪に、鋭く大きな瞳。
ネイビーのセーターが、品のいい彼に似合っている。
智さんとは、またちがう種類の頼もしさを見せる大人の男性だった。
プレゼントされた、高価な万年筆を手に、翔は、嬉しそう。
そばで見守る智さんも、また、穏やかに微笑んでいて、まるでひとつの家族を見てるみたいだった。
「じゃ、改めて。翔、合格おめでとう」
智さんの乾杯の音頭とともに、みんなでグラスをくっつけた。
車で来たという、松岡さんは、烏龍茶。
なるほどね、それで飲めないのに、悪いから………の発言だったのか。
ニコニコしてる智さんは、美味しそうにサイダーに口をつけてる。
松岡さんは、そのちょっとした迫力のある雰囲気とは裏腹に、とてもフランクな人だった。
料理も得意だ、とのことだが、俺と雅紀がつくったものも、とても褒めてくれた。
高校生で、これだけできたらすごいって。
なんだか、とても嬉しい。
「このポタージュうまいな」
「ほんとですか?」
「……智、こんだけ料理ができるやつらに囲まれてたら、助かるなぁ」
「……まあね」
松岡さんは、同じくポタージュを食べてる翔と、俺を交互にじっと見つめ、ふと、にやっと笑んだ。
「自分、潤っていったっけ。翔の相手大変だろ」
「……いいえ?そんなことないですけど………」
言葉の真意をくみとれず、キョトンとしてると、
「翔は、意外に甘えん坊だからな。しっかりしてるようで、抜けてるしな。潤みたいなタイプの恋人だったら安心だな」
「……っ?!」
「ぶっ……!!」
翔が、ゴホゴホっとむせた。