キラキラ
第25章 Count 10
「え………まじで?」
続いて、さっきの手のひらとは違うヒヤリとした冷たい指が俺の額に触れた。
「………ほんとだ」
小さく呟く声は翔ちゃん。
この指は、彼のものか。
「兄さん………智くん。大丈夫?」
そのままピタピタと頬を触られる。
………どうしよう。
簡単にばれちまった。
ってか、翔ちゃんの観察眼半端ないな………。
起きようかどうしようか迷ってる間に、今度はふわっと、俺の体にあたたかいものがかかった。
うすら寒かった体にかけられたものから、ほんのり、香るのは松潤の香水。
寒がりな彼の私物のブランケットだろう。
「そんなあんの?熱」
低い静かな声音で前髪をそっとわけられ、温かな手のひらが添えられた。
そーするとこの手のひらは、松潤だな。
「ふーん………ちょっと高そうだね」
……気遣うような声。
いつのまにか、カツカツというゲームをあやつる音も消えた。
にのも気にしてくれているのだろう。
………最悪だ。
一番まずいカタチでばれた。
狸寝入りもここまでか………。
こうなったら大丈夫で押し通そう。
みんなの気遣いに観念して目を開けようとした。
ところが。
どう頑張っても目が開かない。
あれ。
自分の意思で瞼があかない。
固く閉じた目は、まるで接着剤でくっつけられてしまったかのように、開くことができなかった。
へ。
どーゆーこと?
気がつけば体もあやつることができない。
声をあげようにも、口をあけることもできない。
まるで、自分の体なのに自分のものじゃないようだ。
翔ちゃんが俺の頬をさわりながら声をかけてくれてる。
「智くん………おーい………」
起きてるよ!
起きたいんだけど、なんか自分の体がおかしいんだけど!
俺は、焦って闇雲に体を動かそうとしたが、意思に反して指の先すらぴくりともしない。
ちょっと待てよ。
なにこれ。
こえーよ!
そのうちに、俺の傍らに立ってるらしき相葉ちゃんが、ぼそっと口を開いた。
「………え。これヤバくない?リーダー高熱で気失ってんじゃない?」
「マジ?!」
「だってここまでして起きないのおかしいじゃん。………俺、マネージャー呼んでくる!」
「俺、なんか冷やすもんもらってくるわ」
相葉ちゃんと、にのが楽屋をでていったのが分かった。