キラキラ
第25章 Count 10
「智くん?………智くん」
「リーダー、ちょっと。分かる?起きて?」
翔ちゃんと松潤に代わる代わる声をかけられるが、返事もできない。
頬は熱いし、頭痛はひどいし、焦るから暑いし、なんだか気持ちも悪くなってきた。
頭の芯もぼんやりしてる。
俺、これもしかしてヤバイの?
他人事のように思えるが、どうやら近年稀にみるピンチみたいだ。
「………翔くん、リーダー病院行った方がいいかも。収録どうなるかちょっと確認してくる」
「わかった」
緊張した口調で足早に松潤が出ていった。
しんとした楽屋に取り残された翔ちゃんと俺。
「智くん………」
ぽつんと、翔ちゃんに名を呼ばれた。
眉を下げて心配そうな目をしてる彼が想像できる。
頬にそえられた手が、顔の輪郭に触れながら優しく撫でられるのが心地良かった。
「しっかりしてよ………」
心細そうな声。
反射的に、ごめんな、と思った。
翔ちゃんは、メンバーのピンチに敏感だ。
生放送で鍛えられた勘と、なにかあっても、一際、毅然とした瞳で対処にあたり、しっかりもののイメージが色濃い翔ちゃんだけど、実はすごく心配性で、意外とひきずるのを、俺は、知ってる。
それを恋人である松潤が、上手にガスをぬいたり、俺のいい加減な………もとい、おおらかな性格で、バランスとってんだよな。
「起きてよ………」
………と、言われてもなぁ、目が開かないんだよ。
ぐるぐる考えてる間に、なんだか意識が遠のいていく。
頭痛ぇ………
ちょっと、もう無理かも………
あまりのしんどさに、抵抗することをあきらめ、俺は、フワフワする感覚に身を委ねた。