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キラキラ

第25章 Count 10

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「………ちょっと。そろそろ起きて」


かけられた言葉に落ちてた意識が急激に浮上した。

ほんの少し眠ってしまっていたらしい。


「………」


目を閉じたまま眉根を寄せ、ふうっとため息をついた。
手足の熱さと頭痛ははあまりかわらないが、気分の悪さは少しだけマシになってる。

腕を何気なく顔の上に持ってきて、はっと気がついた。

良かった………体が動く。

ゆるゆると瞼をあけた。

すると、記憶にない天井が目に飛び込んできた。


………?
病院?
いや、違う。
独特の薬品の匂いがしない。


何とはなしに、頭を動かしたら、頭元にいた人物が気がついて、俺をのぞきこんだ。
目があった瞬間、俺はびっくりして息をのんだ。

「時間だよ」

その柔らかい笑みと、口調は翔ちゃん。

だけど。

今よりも、大分若い。
今よりも、大分細い。

つか………はっきりいって、子供だ。


「寝ぼけてんの?」


横からもう一人顔をのぞかせたのは、これまた少年のような顔をした松潤。

結成当初を思い起こさせるような若さ。
でも、若さゆえの危ういような感じはなく、落ち着きは、今の松潤のようなものを持ってる気がする。


「委員会はじまるよ?」


持ってる紙の束をひらひらさせてにっこり笑われたけど。
俺の頭にはハテナマークがぽんぽんと飛び交ってる。


………委員会??


収録だろ?今から。


………ていうか、お前ら、そのビジュアルの変わり様。


俺が、じっと黙ってると、傍らの翔ちゃんが時計を見上げて、立ち上がった。

「………潤、その資料さ。追加分は活動室に持っていった?」

「当然。もうセットずみ」

「さすが」

目の前で会話する翔ちゃんと松潤は、揃いの紺色のジャケットをきて、ネクタイをしめている。
パンツはグレー。
まるで学生服だ。
ちょっと前のMV で着た衣装を彷彿とさせる。

そう………まるきり高校生だ。


「ほら。ちょっと、早く起きてよ」


松潤の声が再度促してきたけれど。


「…………」
 

さっきとは、別の意味で体が動かない。
状況を理解しようと一生懸命頭で整理した。


………なんか、俺、こいつらとバラエティの仕事入ってたっけ?
それとも、ドラマの仕事……?


え。だとしたらこれ今本番中?


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