キラキラ
第25章 Count 10
首をめぐらし、周りを見渡したが、見える範囲にカメラもスタッフの姿もない。
「………?」
撮影じゃないのかな?
ふと寝そべっている自分の体をみおろせば、ジャケットは着てないものの、二人と同じシャツとネクタイ姿。
ただし、袖をまくり、ネクタイをゆるめた、大分着崩した風体だ。
「………」
つか。
俺、いつ着替えたっけ?
頭痛くて、寝てしまってたけど。
そのあと一回起きたっけ………?
わけがわからない。
ゆっくり起き上がった。
何かのセットかと思ったが、ここは普通の部屋だ。
真ん中に大きな机が二つ。
ファイルや、ノートなとが山積みになっていて、お世辞にも片付いているとはいえない。
机の周りをぐるりと椅子が何脚か囲んでいて、ノートパソコンやプリンターが何台か鎮座してる。
俺が寝ていたのをふくめ、壁際にいくつか皮ばりのソファーがあり、ジャケットが、ぽい、と無造作にかけられていた。
翔ちゃんが、そのジャケットを手にして、俺に差し出す。
「その格好、も少しなんとかして。生徒会長っぽくないよ」
「………え?」
………………いまなんつった?
「ああ、もう急いで。早く。袖おろして………って、あれ」
俺に触れた翔ちゃんが、はっとした顔になった。
そして、そのまま翔ちゃんの手が俺の前髪をかきわけ、額にあてられ、みるみる険しい顔になった。
「なに、あなた熱あるじゃん………もう………」
いや、あるにはあるだろーけど、なんかもうどーでもいい………。
俺が、なにも言わずに座り込んだまま動かないのを、翔ちゃんは即座に具合が悪いせいだ、と結論づけたらしい。
「………しょうがないなぁ。だから、なかなか起きなかったんだね」
「………委員会は、会長欠席だな。翔、かわりに挨拶しろよ?」
松潤が、翔ちゃんを指差してせわしなく部屋をでていく。
「……え…なに喋ろう………。ま、とりあえず智はこのまま寝てて」
翔ちゃんは、髪の毛をくしゃりとかきあげながら、呟くように言って、俺の肩に手をおき、そのままソファーに横たえてくれた。
そして、ジャケットを布団がわりに体にかけ、
「ちょっといってくるね」
と、同じく部屋をでていった。
「………」
智………?
不思議。
………翔ちゃんに呼び捨てされたのハジメテだ。