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キラキラ

第25章 Count 10


頭はずっとズキズキしてるまま、このへんちくりんな状況を把握しないといけない俺は、頭を抱えた。


収録はどうなった?

翔ちゃんと松潤が、ガキの姿してるのはなんで?

俺、なんで着替えてんの?

大体………ここはどこだ?


意味不明な状況。
手のひらをぐーにしたり、パーにしたりして、感触を確かめる。
リアルに感じる。

………夢ではなさそうだけど。
でも。
夢じゃなかったらおかしいよな。
………もしかして、これ頭痛がみせてる幻影なのかなぁ。


「………」

もう一回寝たら、この幻影からも覚めてるかな。

「……頭いてぇ…」

俺は、襲ってくる頭痛を避けるべく、うつらうつらと寝てしまうことを選んだ。

難しいことを考えたくなかった。

突っ込みどころ満載な状況だけど、今の俺には、眠れさえしたら、どーでもよかった。




ー………


……………遠くで人の声がする。



「………どーする。保健室連れてくの?」

「いや、もう寮に帰った方が早い。誰か智の荷物持って。俺、おぶってくわ」

「俺が持つよ。雅紀は、先に寮に戻って、長瀬さんになんか常備薬ないか聞いてきて」

「オッケー」

「かずも一緒に戻って、冷やすものとか、飲み物とか準備してくれてたら、助かる」

「うん、分かった」

「さて。智ぃ………帰るぞー。ぅお、あっつ」



松潤の声とともに、肩を抱かれて体を起こされる。

うすぼんやりと目を開けたら、やっぱり幼いその笑顔。
だけど、瞳の力は俺の知ってる松潤だ。

「お、起きた。大丈夫か?」

「………」

言葉を返せない俺に、傍らの若い翔ちゃんがクスクス笑った。

「ダメだよ。全然。ほにゃほにゃじゃん」

「だな。こんな、可愛らしい会長の姿、誰にもみせらんねぇな」

………ガキの姿の翔ちゃんと松潤がわけわかんないこと言ってる。

だけど、あれこれ言いながらも、そのままゆっくり抱き起こされておさまったのは、おそらく松潤の背中。

この匂いは覚えがある。

これだけ長く一緒に過ごすと、メンバーの匂いみたいなのも覚えちゃう。
香水とかではない………その人の香り。


頬をくっつけてその温もりを感じた。

背中ごしに翔ちゃんと会話する松潤の声が響く。
ビジュアルはなんだかおかしいけど、纏う雰囲気は一緒だから、まあ、いっか。

…俺は、再び意識を手放した。



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