キラキラ
第25章 Count 10
「………おーちゃん?」
「………」
「どしたの?大丈夫?」
黙ってる俺に、相葉ちゃんは心配そうな顔を寄せてきて、俺の目の前で手をひらひらした。
無邪気な表情。
いい意味で、まだ世間知らずな純粋な顔をしてる。
……17歳か。
確かに17くらいのビジュアルだ。
おそらく、ほかのメンバーもそうなのだろう。
30を越えてる顔ではなかった。
………なんでだ?!
俺は、頭をかきむしりたくなった。
誰か教えてくれ。
ここはどこだ。
こいつらはなんだ。
翔ちゃんたちはどこだ。
………俺は、誰だ?
俺が怖い顔をして固まっているからだろう。
「………おーちゃん………?」
相葉ちゃんのおずおずとした声が、嫌でも俺を現実に引き戻した。
「………」
目の前にいるのは、高校生の相葉ちゃん。
いつもの、優しくて頼りになる大人な相葉ちゃんじゃない。
……ああ、なんかまた熱あがった……絶対。
「おーちゃん……」
「………ごめ、ちょっと…気分悪い」
「ええっ!! 大丈夫!?」
うるせーよ……(笑)
ゲゲゲの桶いる?!と、大騒ぎしだした相葉ちゃんを、寝たら治るから、と苦笑してなだめた。
長瀬さんに、おーちゃん気持ち悪いって!って言っとくね、と、心配そうに繰り返す相葉ちゃんに、ベッドの中から力なく手を振り追い出した。
パタン、としまった扉。
………とたんに部屋がしんとした。
ふーっとため息をついて天井にともる小さな豆電球をみつめた。
………とにかく状況を整理したい。
俺が今置かれてる立場は、嘘みたいだが、高校生だ。
常識的にはありえないけど………。
あれかな。タイムスリップってやつか。
いや。
タイムスリップは、自分の過去に行くんだろ。
俺は、こんな生活したことねぇよな………。
「………」
寝返りをして、目を閉じる。
じゃあ、やっぱ夢かな………。
やけにリアルだけど、いつか覚めるのかな。
はあ………。
なんか、もーどーでもいいわ。
なんとかなんだろ。多分………。
クラクラする頭を感じながら、布団に潜り込んだ。
俺がいつも寝てる布団とは違う香りがした。
柔らかさも軽さも違う。
やっぱりここは知らない場所だ、と思った。