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キラキラ

第3章 フラワー

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(…………)


目が覚めて、時計をみると、4時だった。

じわりと汗をかいてる体が気持ち悪い。

でも、そのせいか、あれだけ熱かった顔や体の熱が、少しマシになってる感じだ。

腕をうごかそうとして、からめられた指の感覚に気がつく。

頭を動かして手元をみると、俺の手を握ったまま、ベッドサイドで寝ている翔くん。

ドラマでこんなシーンはよくあるけど、実際に自分がその立場になると、こんなに気恥ずかしく、嬉しいものなのかと、思う。

左手で、俺の右手をしっかりと握り、投げ出された右腕に頭をおいた翔くんは、こちらを向いてスースー寝息をたててる。
無防備な顔。
ぽってりした唇を少し開けて。

(あ……よだれ)

クスッと笑った拍子に、コホッと咳がでて、その音で翔くんの瞳が、薄く開いた。

「…お………潤」

翔くんが、寝起きの顔で、微笑んだ。

(ヤベー……可愛すぎ)

ドキッとして、俺も、笑みを返す。

「……気分はどう?ちょっとはマシ?」

体をおこして、顔をのぞきこんでくれる。

「うん……大分マシ……ってか着替えたい」

「?……わ、本当だ。すげえ汗かいてんじゃん」

驚きながら、額のシートをとって、頬に手を滑らせてくる翔くんは、安心したように笑った。

「大分下がったっぽいな。着替えどこ?とってきてやるよ」

「……脱衣所のロッカーに、一式はいってる」

言いながら、起き上がる。
着ていたグレーのスエットの背中が、汗でぺったりはりついてて、気持ち悪い。

燃えるように熱かった体が、ちょっと落ち着いてるのが分かる。

たまらずに脱いだ。

上半身裸で、ふうっとため息をついてると、着替えを手にして戻ってきた翔くんが、「こらっ」と笑った。

「まだ脱ぐなよ。冷えるぞ」

「あっついんだよ…」

苦笑いして、言い返す
翔くんは、ちょっと赤い顔をして、ほら、と着替えを渡してくれた。

「今日は?何時入り?」

着替えと共に渡されたタオルで体をふきながら、考える。

「んと…8時」

「そっか。俺、9時だから、送るわ。車貸してな」

「うん」

最終の仕事は、レギュラー番組の対決ものの収録。
帰りは一緒に帰れそうだ。




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