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キラキラ

第3章 フラワー



着替えて、さっぱりすると、次に猛烈に喉が渇いてることにきづく。
体中の水分が全て持っていかれた感じ。
コホッと、咳をして、深呼吸する。

すると、それに気づいたのか、翔くんが、昨夜の残りの、経口補水液のボトルを渡してくれた。

「これ。飲んどけよ」

「あ……ありがと」

蓋をはずして、口をつける。
翔くんは、そんな俺を嬉しそうにじーっと見つめてる。

「……ん?」

なに?と、問えば、

「いや。良かったなって思ってさ。やっぱり潤の苦しそうな顔は、あんま見たくねーし」

なんて、ドキッとするようなことを言ってくれる。
「そう?」

何食わぬ顔で、ボトルをあおってると、翔くんは、ふふっと笑って、「でも」と、つけくわえる。

「殊勝な潤は、貴重だけどさ」

「……殊勝」

翔くんは、俺の手にある空のボトルを取り上げて、
「おとなしい潤くんは、あまり見れませんからね~」

と、おどけて言った。
「俺、いつもおとなしいじゃん」
「え?」
「…あれ。違う?」
「ええ?」

翔くんはクスクス笑って、俺の肩を軽く押す。
バランスが崩れて、傾いた体を、
「おっと……」
翔くんが差し出した、もう片方の腕にささえられる。
そのままゆっくりと、体を横に倒された。

「まだ、起きるのは早いから。寝てな」 
「翔くんは……?」
「大丈夫。一緒に、うとうとするから」 

掛け布団をかけてもらい、ポンポンと優しく叩いて、翔くんは、ベッドサイドに座った。
翔くんの方に顔を向けると、翔くんの指が、俺の額に触れる。

「まだ少し熱いかな…」
呟いて、組んだ両腕に顎をのせて、こちらをじっと見つめてくるから、妙に気恥ずかしくなって、俺は目をそらした。

ふと。
翔くんが思い出したように言う。

「そうだ。潤。お前昨日の晩って、誰かこの家に呼んだ?」

「……いいや」

「じゃ、あのキッチンにあった酒、全部お前一人で飲んだのかよ?」

「……多分」

「……多分って……おまえ、あれはないぞ」

これには、カチンときた。



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