キラキラ
第25章 Count 10
「食欲ないの?」
「………うん、まあ」
心配そうな色をたたえてるドングリ目を見てると、無視をしたことに、なんだかわけもない罪悪感を覚える。
夢なのに。
「まあ、いつもが少ししか食べないもんね。フルーツくらいなら、食べれそう?持ってこようか」
「や………いい」
翔ちゃんが部屋を出ていきかけるのを慌ててとめた。
そんなパシりみたいなことさせらんないよ。
「じゃあ………食堂行こうよ」
みんな、まだいるよ、と翔ちゃんが言う。
みんな………って。みんなかな?
「ね」
「………うん」
うなずいて、立ち上がった。
翔ちゃんが、少し意外そうな顔をするから、どうしたのだろう、と思っていたら、
「そのスエット………」
いつもはお気に入りだから、あまり普段着ないやつなんだそうな。
どうりで、ほかに比べて小綺麗だと思った。
「あなた、これはいつも高いやつなんだって自慢してたじゃん」
翔ちゃんが、くすっと笑った。
なんだか、ケチ臭いやつだな、俺、と、ちょっと恥ずかしかった。
翔ちゃんについて入った食堂は、想像してたのよりもはるかに広くて綺麗だった。
クリーム色を基調にした温かい色合いの大部屋。
そこかしこに、眠たい目をこすってるやつや、朝からモリモリ丼をかきこむ運動部らしき集団が、いるなかで、一際目を引く集団が目に入った。
「あ!おーちゃん!おはよ!元気になったー?」
大きな茶碗を手に、相葉ちゃんがぶんぶんと手をふってくれた。
あいかわらず元気印だ。
その横には、クロワッサンをかじってる色の白い華奢男。
………にのだ。
若い頃は今より少し丸いのだが、それでも食が細そうなのにはかわらなくて。
神経質そうな瞳が、少し細められたから、笑いかけられたと判断して、片手をあげてそれに応える。
反対側には、マグカッブに、口をつけて手をふる松潤。
改めてみると、目力はそのままだけど、髪は少し長いし、にのに輪をかけて細い。………というより、翔ちゃんもだけど、みんな細い。
「………若ぇーなぁ………」
「え。なにが?」
翔ちゃんが、不思議そうな顔をするから、
「なんでもない」と、肩をすくめた。
そのとき、
「なんや!おーのくん!もう大丈夫なん?」
と、こってこての関西弁の元気な声が飛んできた。