キラキラ
第25章 Count 10
つまりは、こうだ。
いつもの俺は、傍若無人を絵にかいたような人物であるらしい。
頭も良くて、器用なくせに、授業はさぼるわ、喧嘩はするわで、問題行動続発な態度に教師陣が匙をなげ、校長じきじきに、生徒会長を任命してきたという前代未聞な経緯があると。
「………てか。どしたの?あなた。今更なこときいて」
翔ちゃんが、不審げに眉をよせた。
すると、傍らから相葉ちゃんが、サラサラの茶髪をゆらして面白そうに口を挟んだ。
「記憶ソーシツらしいよ。熱のせいで」
「………そうなの?」
にのが、目を丸くしてこちらをのぞきこむから、俺は、苦笑いながら、ああ、まあ………と言葉を濁した。
「ふうん………そりゃ、また面白い冗談だな」
松潤がにやりと笑った。
俺は、スプーンでお椀の中身をグチャグチャしながら黙った。
面白いけど、わけわかんねー。
俺が喧嘩?
菩薩の俺が喧嘩?
人格かわってんじゃん。
まあ………授業サボるのは分かる気がするけど………。
「生徒会長を一年きちんとやったら、卒業させてやるって言われちゃ引き受けざるをえないもんね~。」
相葉ちゃんは、食べてるイチゴの皿を、ん、とこっちに押し出してきてくれた。
「風邪のときにはビタミンCだよ。おーちゃん野菜嫌いでしょ。食べて」
そういってにっこりする。
相葉ちゃんは、どんな時でも優しいな、と思った。
「………ああ、ありがと」
「わ!また御礼言った!」
相葉ちゃんが、きゃはっと笑ったから、そんくらいなんぼでも言うちゃるわ!と、思わず言い返してしまった。