キラキラ
第25章 Count 10
部屋にかかっていた制服を見よう見まねで着る。
シャツのボタンをとめ、ネクタイをしめて部屋のすみにある鏡を見て、また驚いた。
今の今まで、自分のビジュアルなんか、全然気にしてなかったけど。
………俺も若いじゃん。
しかも、まっキンキンの頭をしてるときだ。
ほぇー………懐かしい。
少し痛んでる髪の毛を触る。
よく見たら眉毛とかもいじってる。
今より少しふっくらしてる頬。
でも、不思議と体は軽くて、若さってこんな感じだったかなぁ、と思う。
………ていうか。
こんな生徒会長みたことねぇな。
いいのか。嵐学園とやら。
こんなのが生徒の上にたってて………。
ため息をつき、ベッドに座ってぼんやり考えた。
病み上がりだからか、なんか疲れたし。
………サボってもいいけれど。
「うーん………」
長瀬くんや、茂子さんに見つかったらややこしそうだしなぁ。
とりあえずは学校にいってみようか。
めんどくさくなったら、そのときに考えよう。
ハンガーにかかってたジャケットをはおり、ぺっちゃんこの鞄をかついで寮をでた。
他の生徒にまじってのんびり歩いてたら、
「智?!」
後ろからすっとんきょうな声がとんできた。
「?」
振り向いたら、そこには目を丸くした松潤と翔ちゃん。
翔ちゃんが、唖然として歩み寄ってきた。
「迎えにいかなくても、学校いくなんてどうしたの?!」
松潤も、皮肉そうに
「雨降るぜ、雨」
と、からかってくる。
俺の頭は、またもやハテナマークが飛び交う。
迎えに来てくれてんのか?
「………俺、いつもお前らに迎えにきてもらってんの?」
「でなきゃ、サボるじゃんか」
「………」
サボるって。
どーしよーもないやつだな、俺。
こいつらに、すっげー世話になってんのな。
思わず苦笑いしてしまう。
「………制服も普通に着てる。智、マジで記憶ソーシツになった?」
翔ちゃんが、大きな目をますます大きくして、呟いた。
普通ってなんだよ?!(笑)
「別人みたい………」
………正解。
おりゃ、別人だよ。
思いながら、
「ちょっと真面目にしてみたくなって」
と、大人みたいなことを言ってやった。