テキストサイズ

キラキラ

第25章 Count 10


学園に着いた。

記憶ソーシツごっこにずっとつきあってくれるこいつらは、本当いいやつだ。

いつもの俺と違うから、若干楽しんでる風にも見えるけれどね………。

おかげで、教室までスムーズにたどりつけた。
 
全部で6クラスあるうち、にのと翔ちゃんが、同じクラス。
松潤と俺と相葉ちゃんが同じクラスなようだ。


「じゃあね」


と、翔ちゃんたちと別れる。

松潤と、正門前で出会った相葉ちゃんに続いて、ざわめいた教室に足を踏み入れた。

おっはよー、と元気に言いながら歩く相葉ちゃんと松潤には、次々クラスメイトから返事がかけられる。

だが、その後ろを歩いてる俺には、何故かみんなペコリと会釈をし、おはようございます!と言ってきた。


「………お、おう」


と、戸惑うように頷いて、そそくさとかわしていく俺だが………。


「………」


なんだ、この違い。

そういうところからも、普段の自分の態度がわかり、あきれてしまう。


もしかして怖がられてんの?俺。


俺の表情を見て、

「めちゃめちゃ、おどおどしてんじゃねーか」

と、松潤に笑われた。


いや、でもドラマとかの役ならともかく、普通にしてて怖がられることなんて、今までないもの。

………まあ、でも、これも夢だから、怖い生徒会長役を演じてると思えば、いいのか?


「ほら、ここ。特等席~!」


案内された席は、窓際の一番後ろ。
さあ、寝てくださいと言わんばかりの場所だ。

俺の隣が松潤。前が相葉ちゃんだった。

ホッとしながら椅子をひく。

別のクラスメイトと喋りはじめた彼らを見ながら、ちんまり座って、教室内を眺め回した。


黒板や、掲示物。

教卓。

開かれた窓からそよぐ風。

男ばかりだから、少しむさ苦しい匂いもする。


なんだか、懐かしい風景だった。

勉強なんて大嫌いだったから、学校というものにも特別思い入れはない。

高校なんか学歴のためだけに行っていたし、既に芸能活動もしていたから、参加できない行事とかもあった。

自分が大人になったこともあるけれど、こんなのんびりとした目で、学校にいることが不思議だ。
相葉ちゃんたちのおかげかもしれないな。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ