キラキラ
第25章 Count 10
木村って………木村くんのことだよね。
俺らとは、そんなに接点のない先輩ながら、その圧倒的なオーラをもつその人は、昔から尊敬してる先輩の一人だ。
そんな彼は、ここでは、松潤も相葉ちゃんも、口を揃えて、怒らせたらヤバイ、と言う数学の教師だそうで。
………まあ、木村くんには会いたい気もするが、数学もどーせ分からないし、サボることに決めた。
松潤に教えてもらった生徒会室までの道のりをたどり、借りた鍵を使い、小さなドアの扉をあける。
そこには、昨日、目覚めてすぐ目に入った風景が広がる。
「………ふう」
手近のソファにボスンと座り、ゆっくり体を倒した。
冗談のようなこの状況はまだまだ続くのだろうか。
眠気も空腹感も、とてもリアルで、夢を見てるとは思えないのだが。
だけど現実にはありえないから、夢としか言いようがない………。
不思議なことも起こるもんだよなぁ。
授業中が故に、物音ひとつきこえない静かな静かな建物。
俺は、ゆっくり目を閉じた。
わけわからないときは、寝てしまうに限る。
「………ばかっ……やめろっ」
「しーーっ………」
「……だめ、…んんっ」
「……………」
小さな物音に目が覚めた。
だれかが、この部屋にいる。
授業終わったのかな、と、起きようとしたら、なんだかあやしい会話が聞こえ、あわててもう一度目を瞑った。
「………ちょっ………ぁん」
「しーーー、おーちゃんが起きちゃうでしょ」
「ん………んん」
…………おいおいおい。
チュクチュクとなるのは、まぎれもなくキスの音。
そしてこの声は、
「ん……ぷはっ………まーくんっ」
「………ふふっ………ごちそーさま」
相葉ちゃんと……にのだ。